学園トップのワルい王子様にくちびる奪われちゃいました!?
 戸惑う私を壁際まで追い詰めて、逃がさないとばかりにトンと壁へ手をつき顔を寄せてくる。

 くらくらするほどいい香りがして、顔立ちの美しさは薄暗くてもよくわかるくらいの距離感。

 もしかしてこれはよからぬことをされるのではないかと、バクバク心臓が跳ねだす。

 けれど怖すぎて足が動かない。

 そんな私の唇に、江本先輩の唇がふわっと触れる。

 (え……キス……キスされちゃったんですけど……!?)

 頭の中が大パニックだ。

 江本先輩の唇が柔らかくってあったかくて……。

 いやいや、そんな感想はともかく!

「な、なんで……」

「かわいいから。キスしたくなっちゃった」

「……っして!……返してください!私のファーストキスー!」

 江本先輩が怖いなんてことも忘れて、泣きそうになりながらポカポカと両手で彼の胸元を叩いた。
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