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「私の大学時代の知人をやり捨てしまくったくせに」

 中学に上がり志摩と同じ学校に通うようになると、私をいじめる人はいなくなった。私に手を出せば、志摩が容赦なく報復をしたからだ。
 その代わり周囲は腫れ物を扱うように私と距離を置いた。

 中高とそんな日々を過ごし、大学は地元から離れた学校を選んだ。入学してしばらくは平和な学生生活を送れたけれど、それもすぐに終わった。

 志摩が私に付きまとって大学に居座るようになったからだ。

「わしはお嬢に悪い虫がつかんよう警備しとったんよ」

 なにが悪い虫だ。最大の害虫は自分でしょうが。

 私は入学してすぐに同じ学部の三人の女の子と仲良くなった。志摩はその友人三人を同時に口説き付き合ったのだ。

 もちろん三股はすぐにばれ、女の子たちは取っ組み合いのけんかになった。
 大学のカフェテラスで繰り広げられるその修羅場を、志摩はケラケラ笑って手を叩きながら見ていた。

 ほかにも私に話しかけた先輩をしめたり、教授を脅したり。志摩のせいで私の大学生活はトラブル続きだった。

 
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