100の涙の物語
愛しき人。
18になった日、私は母親になった。
「よく頑張ったね。おめでとう」
お姉ちゃんの細くて綺麗な手が、私の少し汗をかいた頭を、くしゃっと撫でた。
薬指にはキラリと光るシルバーリング。
私の指に、それはなかった。
思い起こせば10ヶ月前、私は大好きな彼氏と、初めて一線をこえた。
彼氏は同じ高校だった2歳年上の先輩で、当時19歳だった。
妊娠してるかも…って思ったのは、その年の残暑厳しい9月の事だった。
病院に行ったら
「おめでとうございます。2ヶ月目に入ってますね」
と軽々しく言われたのを、今でも覚えている。
「そうですか」
と私は実感がわかない中、人事みたいに言って、とりあえず彼氏や家族に相談します、と静かに病室をでた。
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