100の涙の物語
病室についた私は手に持っていた大きな紙袋から、綺麗な花を丁寧に持ち出して、
「これ。お見舞いだよ」
と言い花瓶を探した。
「あ、私お花生けてくるよ」
ユキがそう言うと、すかさずツカサか横から手を伸ばし、
「俺やってくるわ。ミホとユキ、久しぶりなんだし2人で話してな」
と言うと、花を私の手からスルリと取り上げて早々と病室を後にしていた。
「ミホ本当に久しぶりだね」
ユキが笑いながらそう言うと、私もつられて笑いながらそうだね、と頷いた。
それからは他愛もない話ばかりして、いつの間にか30分が過ぎようとしていた。
「ツカサ、遅過ぎじゃない?」
ふいにユキがそう言った。
「多分つもる話あるだろうと思って、気利かしてるんじゃない?」
私が携帯の画面を確認しながらそう言うと、ユキは静かにそっか、と言った。
しばらく沈黙が続き、私はずっと気になっていた事を尋ねた。
「ユキ…。リョウスケ先輩の事、大丈夫…?」