100の涙の物語
「おじゃましま~っす!」
私は自分の緊張した気持ちを悟られないように、空元気に声を出した。
用意されたスリッパに足を滑らせ、パタパタと音を立てながら、私はお姉ちゃんの後を部屋の奥へとついて行った。
お姉ちゃんがリビングの扉を開き、私はその後に続いてリビングに足を踏み入れた。
「ちょっとソファに座って待ってて」
言われた通りソファに座り、暇つぶしに置いてあった雑誌を手にとった。
パラパラとめくると、目に留まる文字……。
『妊娠』
こんなにもハッキリと、この2文字を意識した事は、これが初めてで、見る度に鼓動が速くなるのが感じられた。