元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を横臥する!

 それからと言うものの、なんだか話が盛り上がってしまった。


「はぁ? なんだよそのクソ野郎は。そういう奴ほどあとで恥かくんだよ。道連れなんて勘弁だろ」

「でしょ? 貴族の真似して気取ってるんですよ? 気持ち悪すぎて背筋がぞわぞわしましたよ」

「なんだそれ気持ち悪っ。陛下めっちゃタイミング良すぎだな」

「助かりました、本当に」

「女殴るとかありえないだろ。マジで木っ端微塵にしてやる」


 怖っ。


「え、何ですその運命の相手とか。ロマンスファンタジーの本読みすぎじゃないんですか?」

「そんなの俺に押し付けられても迷惑でしかない」

「うわー、お疲れ様です」

「同情はいらないけど、マジで助かった。お前いなかったらまた縁談持ち込まれるからな。あの猫撫で声でベタベタ触られたらたまったもんじゃない」

「ですね。お役に立てて光栄です」

「マジで感謝だわ」


 けれど、私達は気がついた。それは、外が明るくなっていた事だ。


「……朝ですね」

「朝だな」


 あれ、私達何か忘れてない?


「……そういえば初夜だったな」

「もう終わってません?」

「やり直すか?」

「え、今からですか。別に私はどっちでもいいですけど、旦那様はどうです?」

「眠い」

「……寝ますか」


 と言うことになってしまったのだった。初夜ってなんだっけ?

 けど……いきなり旦那様は私にキスをしてきた。

 びっ……


「これくらいはしとくか」

「……今更な気もしますけど」

「セーフセーフ」


 ……くりした。いきなりはやめてほしい。けど……


「ほら来い、テトラ」

「はい、エヴァン」


 だいぶ仲は良くなった。まさか名前で呼んでいいと言われるとは思わなかった。ずっと旦那様って呼ぶのだと思ってたのに。

 まぁでも、仲が深まってよかったよかった。楽しい結婚生活になりそうだ。

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