元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!
◇9
心臓が止まるかと思った。
起きた瞬間、目の前に最高級イケメンの整った顔があったからだ。しかもこっちをじーっと見てくる。
「あ、起きたか。おはよ」
「……おはようございます」
そういえば私、昨日結婚したんだった。しかもこんなイケメンと。
外はすっごく明るい。確か、早朝に二人で寝たんだっけ。ヤバいオールしちゃったよってなって。今何時だ。お昼は過ぎてないよな。
「ヤバい可愛い」
「……」
そりゃどうも。どタイプだったんならそりゃよかったですね。けどこのほっぺた手で撫でないでくださいますか、くすぐったいので。
「陛下に感謝だわ。あとでなんか献上しよ」
「……そうですか」
一体何を献上するんだ、この人は。
けど、目のやり場に困る。旦那様が着てるバスローブが寝ていたからか乱れていてなんか色々と見えちゃってるし。腹筋ヤバ、とか思っちゃってる私は変態ですか。
「テトラちゃんのえっち」
「旦那様っ!!」
「朝から元気だねぇ」
はぁ、マジでやめてほしい。心臓に悪すぎる。ふぁ〜ってあくびする仕草すらかっこいいってなんなの。もうよく分からん。とりあえず、ずるい。
と、思っていたら、なんか抱きしめられた。
「眠い……」
「……」
あの、寝るなら私を巻き込まないでくださいますか。胸元が目の前なのですが。やめて、マジでやめて。
けどさ、寝息が聞こえてくるのですが。また寝たの? え、マジで寝たの?
けど、ぎゅ〜っと抱きしめられて動けず、寝息を聞いていると……自分も寝落ちしたのだった。いいのか、これ。
私達が起きたのは、それから1時間後のお昼をちょっと過ぎた頃。だいぶ寝過ぎた。旦那様の「腹減った」の一言で大急ぎで朝ご飯(?)を用意してもらったのだった。