元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を横臥する!
「テトラちゃ~ん」
「んむっ」
とはいえ、エヴァンにバレていることは分かっていた。夜、寝室に行くとエヴァンに捕まえられた。両頬をつままれて。
「ずいぶんと楽しく充実した毎日を過ごしてるみたいだな?」
「実家にいた時と同じ事してるだけです~」
「あーはいはい。まぁ好きな事をするのはご勝手にどうぞだが、無理はするなよ」
「は~い」
「はぁ、お返事はご立派だな」
だって、周りのメイド達にも無理はしないでくださいと何度も何度も耳にたんこぶが出来るんじゃないかってくらい言われてるもん。まぁ、実家にいる時だって無理はしなかったから分かってるけど。
「無理をしないなら別にいい。だが来客がいる時はやめろよ」
「心得ていま~す」
「それならいい。けど、明日は一日俺に付き合え」
「え?」
「約束したろ。ウチの商会の本店に連れてってやるって」
「え、やった!」
苗を用意してくれるって約束したよね! シャベルと肥料も! やったぁ! じゃあ庭いじれる!
よっしゃぁ~! 明日楽しみ~!
「……おもちゃを買ってもらえる約束して嬉しくなった子供かよ」
「私を何だと思ってるんです?」
「可愛い可愛い俺の嫁」
「あーはいはい」
なぁにが可愛いだ。本気で思ってないくせに。あ、いや、好みってやつか。まぁ夢見るくらいならいいんじゃない? 中身最悪だけど。