元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を横臥する!
ジャムに必要なもの、それはフルーツと、レモン果汁と、砂糖だ。
私には、お小遣いがある。そしたら、もう買うしかないでしょ。思い立ったが吉日。アフタヌーンティー後エヴァンと別れ、すぐにキッチンに向かったのだった。
「料理長料理長、お願い事があるんだけど、いい?」
「い、いかがなさいました?」
このキッチンに私は何度も出入りしている。みんなのお仕事のお手伝いしてるから自然とここにも来ているのだ。
この家の食材の仕入れは料理長が決めていると聞いた。なら、料理長にお願いしないとね。
そして次の日、お願いしたものが届いたと教えてもらった。いや、早すぎでしょ。
「こちらでよろしかったでしょうか?」
「うん、バッチリよ! じゃあこれを洗いましょう!」
「奥様!? 我々がやります!!」
「奥様はこちらで指示を出してください!」
「いやよ、私もやる!」
これは私がやるって決めたんだから最初から最後までやるに決まってるでしょ。やったことあるし。前世で、だけど。
ではこちらを! とエプロンを貸してくれた。シンプルな白いエプロンだ。
蛇口を一つ貸してもらい、ふんふん、と鼻歌を歌いながらじゃぶじゃぶといちごを洗い出した。なんだか周りはそわそわしてるけど……
「仕事」
「はっはいっ!」
「私がお手伝いいたします!」
「え、いいの? 大丈夫?」
「はいっ!」
まさかの料理長が手伝ってくれるらしい。仕事を邪魔しないように、と思ったんだけど、悪いことしちゃったかな。ごめんなさいね。
「包丁は私がやりますよっ!?」
「使ったことあるし、大丈夫よ?」
「ですがっ!」
「じゃあ、いっぱいあるんだから手分けしてやろっか!」
「奥様ぁ……」
まぁ、色々と強引ではあるけれど、ごめんなさいね。でもジャム食べたいのよ。みんなで食べようね。
「な、なんという砂糖の贅沢使い……!」
「砂糖は高級品ですからね」
いちごに砂糖とレモン汁を合わせて混ぜてるんだけど……使う砂糖の量が……うわぁ、贅沢品をこんなに使っちゃっていいの? とはいえ、これは私がお小遣いで買ったのだから、いっか。
そして、よく混ざったら一晩置く事になるので、作業は明日となったのだ。
美味しくなってるといいなぁ〜♡