元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を横臥する!
 そして二人で馬車に乗り込んだのだった。


「あっ、待って!!」

「どうした?」

「ヘアクリップ!!」


 そういえば、ここにきてからヘアクリップ付けてなかった!! ど、どうしよう、どこかに落としちゃったかな……!?


「お探し物はこれか?」

「あっ!?」


 まさにそのお探しのヘアクリップは、エヴァンの手にあった。え、どうして……?


「テトラが最初に乗ってた馬車に落ちてたんだ。ウチの馬車ではあるけれど、もしかして違う馬車に乗ってたんじゃ? って思ったけどこれがあって助かった」

「な、なるほど……」

「でも、だいぶ気に入ってくれたみたいだな?」

「……せっかく、エヴァンが作ってくれたんだから、もったいないじゃないですか」

「へ〜、まっ、今はそういう事にしておくか」


 あっち向け、と指示され、私の髪にヘアクリップをつけてくれた。
 
 だって、これはエヴァンの初めてのプレゼントだもん。大切にするに決まってるじゃん。


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