元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を横臥する!
そして、またまた怖い顔をしたエヴァンが夫人の元へ。
「どういう事だ?」
「な、何のこと、だか……」
「本当に?」
「も、もちろん、ですわ……っ!?」
なんか、怖いオーラが出てません? エヴァンさん。近づき難い雰囲気が出てるのですが。
「ウチの可愛い可愛い嫁に手を出したんだ。そりゃあ罪は重いだろうよ。だが、自分から名乗り出た方がまだ少し軽くなるかもしれない」
「っ……」
「さぁ、どうする。このままじゃ、俺は家の方まで手を出しかねないな?」
エヴァンの恐ろしさに腰を抜かしたのか、ゆっくりとその場に尻餅をついてしまった夫人。カタカタと震わせ、顔は青ざめている。
周りはエヴァンの恐ろしさからかだいぶ離れた場所にまで下がっている。私、彼の背中しか見えないから一体どんな顔をしてるのか分からないな。
「さぁ、正直に言ってくれ」
夫人の目の前にしゃがみ、そう言ってきたエヴァンに後ずさる夫人。うわぁ、怖っ。
「アンタは何かと俺の嫁にと娘を推しまくってきて呆れるほどだったからな。思い通りにいかなくてテトラに手を出しちまった、ってところか」
まるで壊れたお人形かのように、カクカクと頭を何度も縦に振っている。なるほど、そういう事か。
「でっでもっ、うちは公爵家、ですから……上位階級の家です……た、太公様の、お相手には、ぴったりかと、思い、まして……」
「アンタは赤の他人。自分の嫁選びにとやかく口を出す権利などどこにもない。そのまま黙っていれば何もなかった。だが、テトラに手を出したのであれば、それ相応の処置を下す。いいな」
「ひっ……」
うわぁ、涙目じゃん……そこにいらっしゃる夫人とそっくりのご令嬢震え上がってるし。
そして、何故かエヴァンに手招きされた。あぁ、なるほど。
「ご夫人」
「ひっ……」
「……よくもやってくださいましたね」
目を光らせると、恐ろしいものでも見たかのような表情をしていて。
「さ、お選びくださいな。グーとパーどちらがよろしいですか?」
「ぇ……」
「わたくし、力仕事を長年してきたものですから、腕っぷしには自信がありますの。さ、どちらがよろしいかしら」
そうぶりっ子ぶってみた。私のこの発言に理解したようで、震える口でこう言ってきた。
「パ、パー、で……」
「はい、分かりました。では失礼して……っ!!」
パァァン、と何とも清々しい音が会場内に響き渡ったのだった。
うん、綺麗に夫人のほっぺたに紅葉が出来たわね。痛いだろうけれど、そのままにするのは癪に障るのよ。しかもナイフまで突きつけられたんだから。
まぁ、多分これを見てるトマ夫人はやれやれとため息をついている事だろうけれど。
「おーおー見事な平手打ちだな。怒らせないよう気をつけよっ」
「旦那様でしたら特別大サービスでグーにして差し上げますよ」
「それは勘弁だ。まずは奥さんのご機嫌取りでもしないとな。いちごのヨーグルトでいいか?」
「は〜い!」
「よしっ、じゃあさっさと帰るか」
しゃがみ込んでいた私を、またまた抱っこしたエヴァン。周りに何人もの人がいると言うのによくやるな。
「では陛下、殿下、これにて失礼します。私はこれから奥さんのご機嫌取りをしないといけないのでね」
「はっはっはっ、早く行きなさい」
「では失礼」
と、会場を後にしたのだった。
「どういう事だ?」
「な、何のこと、だか……」
「本当に?」
「も、もちろん、ですわ……っ!?」
なんか、怖いオーラが出てません? エヴァンさん。近づき難い雰囲気が出てるのですが。
「ウチの可愛い可愛い嫁に手を出したんだ。そりゃあ罪は重いだろうよ。だが、自分から名乗り出た方がまだ少し軽くなるかもしれない」
「っ……」
「さぁ、どうする。このままじゃ、俺は家の方まで手を出しかねないな?」
エヴァンの恐ろしさに腰を抜かしたのか、ゆっくりとその場に尻餅をついてしまった夫人。カタカタと震わせ、顔は青ざめている。
周りはエヴァンの恐ろしさからかだいぶ離れた場所にまで下がっている。私、彼の背中しか見えないから一体どんな顔をしてるのか分からないな。
「さぁ、正直に言ってくれ」
夫人の目の前にしゃがみ、そう言ってきたエヴァンに後ずさる夫人。うわぁ、怖っ。
「アンタは何かと俺の嫁にと娘を推しまくってきて呆れるほどだったからな。思い通りにいかなくてテトラに手を出しちまった、ってところか」
まるで壊れたお人形かのように、カクカクと頭を何度も縦に振っている。なるほど、そういう事か。
「でっでもっ、うちは公爵家、ですから……上位階級の家です……た、太公様の、お相手には、ぴったりかと、思い、まして……」
「アンタは赤の他人。自分の嫁選びにとやかく口を出す権利などどこにもない。そのまま黙っていれば何もなかった。だが、テトラに手を出したのであれば、それ相応の処置を下す。いいな」
「ひっ……」
うわぁ、涙目じゃん……そこにいらっしゃる夫人とそっくりのご令嬢震え上がってるし。
そして、何故かエヴァンに手招きされた。あぁ、なるほど。
「ご夫人」
「ひっ……」
「……よくもやってくださいましたね」
目を光らせると、恐ろしいものでも見たかのような表情をしていて。
「さ、お選びくださいな。グーとパーどちらがよろしいですか?」
「ぇ……」
「わたくし、力仕事を長年してきたものですから、腕っぷしには自信がありますの。さ、どちらがよろしいかしら」
そうぶりっ子ぶってみた。私のこの発言に理解したようで、震える口でこう言ってきた。
「パ、パー、で……」
「はい、分かりました。では失礼して……っ!!」
パァァン、と何とも清々しい音が会場内に響き渡ったのだった。
うん、綺麗に夫人のほっぺたに紅葉が出来たわね。痛いだろうけれど、そのままにするのは癪に障るのよ。しかもナイフまで突きつけられたんだから。
まぁ、多分これを見てるトマ夫人はやれやれとため息をついている事だろうけれど。
「おーおー見事な平手打ちだな。怒らせないよう気をつけよっ」
「旦那様でしたら特別大サービスでグーにして差し上げますよ」
「それは勘弁だ。まずは奥さんのご機嫌取りでもしないとな。いちごのヨーグルトでいいか?」
「は〜い!」
「よしっ、じゃあさっさと帰るか」
しゃがみ込んでいた私を、またまた抱っこしたエヴァン。周りに何人もの人がいると言うのによくやるな。
「では陛下、殿下、これにて失礼します。私はこれから奥さんのご機嫌取りをしないといけないのでね」
「はっはっはっ、早く行きなさい」
「では失礼」
と、会場を後にしたのだった。