元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を横臥する!
◇8
よ〜やくコルセットから解放されて、旦那様の待つ食堂へ。これならご飯をちゃんと食べれるぞー美味しいご飯だ〜!
「来たか」
旦那様も着替えていたようで、式とは違った落ち着いたダークブルーの紳士服になっていた。やばい、眼福。イケメンは何着ても最高ね。
そして並べられた料理。あぁ、これはご褒美ね! 頑張った、今日の私は頑張った!
「ん」
「はい、どうぞ」
……旦那様ってよく食べるのね。まぁ、背が高いけどすらっとしてるし、筋肉質ではなさそうだし……まぁ、よく食べる人ってことよね。
「お前も遠慮なく食え。死にそうだっただろ」
「え?」
「食事抜きだなんてよく出来るな。体型のためにそこまでするなんて、我慢にも程があるだろ」
「……ありがとうございます」
うん、私もそう思う。最初聞かされた時には、え、まじ? って思ったもん。ここの料理は美味しいから余計よね。
なんて思いつつ、美味しいお肉を一口。うまっ。
ちらり、と目の前の旦那様を盗み見たけど……口大きいな。あれで一口ですか。めっちゃ食いっぷりいいですね。
「はぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜……」
そんな私の声が浴室に響いた。いやぁ、あったかいお風呂って最高ね。
最初はお手伝いはいりません、って言ってたけど頑なに手伝うって言うもんだから洗うのだけ頼んで最後は下がってもらってる。いや、今まで一人で入ってたからさ。それに誰かに見られるのは恥ずかしいし。
今日は本当に疲れた。
超絶イケメンの旦那様に、この国の重鎮達、そして国王陛下と王妃殿下にまで会ってしまいもうキャパオーバー寸前だ。ヤバすぎる。
ちなみにお父様達は超高級ホテルへご案内されてしまった。今頃魂抜けてるかも。レオは大興奮か。
はぁ、これから私どうなるんだろ。王妃殿下には何かあったら言ってちょうだいって言われちゃったし。まぁ、甥の嫁だしな、私。可愛いお嫁さんだのなんだのって褒められたけど、私そんなんじゃありませんって。ただの田舎娘です。なんかすみません、残念なやつが嫁で。
はぁ、あったかぁ……なんてやってたら、コンコンと入り口がノックされた。
「おーい、生きてるかー」
こ、この声は……旦那様じゃん!?
「あ、い、生きてます!」
「1時間も経ってるぞ。長風呂はやめとけよ」
「……すみません、出ます」
「行ってるからさっさと出ろ」
あーびっくりした。いきなりお風呂で旦那様の声聞くなんて……ドキドキなんだけど。
というか、1時間も入ってたんだ……気づかなかった。
でもさ、ここはメイドが確認しにくるところだよね。なんで旦那様が来たのかしら……?
ま、まぁとにかくお風呂から出よう。心配させちゃったから早く出なきゃ。