ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい

「昨日カップ麺だったんです、朝はコーヒーだけで、まともに食べたのは給食で…」

「じゃあ、どうぞ…あっ、私、そんな簡単に部屋に呼んだりはしませんよ、本当にビニール袋のお礼がしたかったんです」

「わかりました、お邪魔していいですか?」

ドアを開けると階段があった。

「メゾネットタイプなんですね」

「そうなんです、ここは絨毯で素足でも気持ちがよくて気に入ってます(笑)」

「いいんですか?」

「どうぞ」

「えっと、独り暮らしですよね?広くないですか?」

「じょう先生は?」

「独り暮らしです、2LDKです」

「広いじゃないですか(笑)部屋はここしかないんです、奥はクローゼット、リビングダイニングでお風呂とトイレは下です、電子ピアノが置きたくて部屋数よりも広さで決めたんです」

「なるほど、あっ、手を洗わせてもらっても?」

「どうぞ」

ダイニングで洗わせてもらい、何が食べたいか聞かれた。

「急に来ちゃったんで結羽先生の作るものなら何でも、あっ、食べれないものは基本ないです」

「じゃあ…30分ほどお待ち下さい」

「ピアノ弾いていてもいいですか?」

「どうぞ~」

結羽は電源を入れてヘッドフォンを除菌シートで拭いて乾拭きして優に渡した。

ピアノ、久しぶりかも…

30分後、トントンと優は肩を軽く叩かれてピアノを弾くのを止め、ヘッドフォンを外して後ろを向くとテーブルにたくさんの料理が並べられていた。

「えっ、すごっ、料亭ですか?」

「お待たせしました(笑)食べましょう、お腹ペコペコ」

「はい!」

『いただきます!』

「ん、美味しいです!」

あっ、そうだと結羽はキッチンに行く。

「じょう先生、お酒は呑めますか?」

「呑めますよ」

「日本酒があるんですけどいかがですか?」

「喜んで(笑)」

結羽は冷蔵庫から冷酒を出してきた。

「いつも休みの前日に呑むんですよ」

チンとグラスで乾杯をした。

「あっ、呑みやすい」

「ですよね、よかった~」

結羽は食べ始めてからはニコニコしていた。

「結羽先生は料理が上手いですね、あの日は何であんなに買い物したんですか?ここから遠いですよね?」

「あの日はポイントが10倍で…調味料とかも買っておきたくて少し遠いドラッグストアへ…」

「ぷっ、買いすぎでしょ(笑)独り暮らしとは思わなかった、主婦かと思った」

「私…この体型を見ればわかると思うんですけど、食べる事が好きなんですよ」

日本酒をぐいっと飲みほした。
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