ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
4日目 物産展
えーっと……起きれないんですけど…
朝に目を覚ました結羽は後ろからがっつり優にホールドされていた。
私の事を抱き枕と思ってるよね。
結羽の腰から前に伸びている手はクロスされている。
どうしよう…トイレに行きたいのに
結羽は優の手を触って離そうとゆっくり力を入れてみた。
「んっ」
やばい、起きそう、でも…
「ごめんなさい、起きますね」と言って手を解き、急いで1階に降りていった。
はぁ間に合った。
2階に戻ると洗い物を済ませた。
まだ起きない優の隣に座り顔を覗き込む。
こんなかっこいい人が私の事を…なんてやっぱりからかわれてるよね。
女性に困ってなさそうだし大学でもモテるだろうな、でも昨日の涙は何だったんだろう…
C大学か…弟とは学年が違うし学部も違うからわからないだろうし
カーテンを開けて部屋が明るくなった。
今日もお天気が良さそう…
結羽のスマホが鳴った。
テーブルの上に置いていたので凄い音がしている。
「あっ、シーなのに…」
急いで電話を取る。
「もしもし?あ、卓(たく)、うん、起きてたよ、うん、うん、はーい、じゃあ」
スマホをテーブルに戻して立ち上がると優と目があった。
「あっ、うるさかったですよね、音を消しとけば良かったです」
「結羽先生の部屋だからそれはいいけど…はぁ、やっぱり親しい男がいるんだ」
優はうつ伏せになり顔を背けた。
「親しい…そうですね、弟ですから」
「え?」
優はびっくりして体を起こした。
「弟?」
「はい(笑)私、男の人とか親しい人はいませんよ」
「えっ、じゃあ僕と付き合ってくれるんですか?」
「それは…やっぱりもう少し考えさせてください」
「えっと、年下は頼りない?」
「そういうのではないですけど…今、じょう先生は大変な実習中ですし、私みたいな太った人と一緒に歩いても…」
「体型とかは関係ないですよ、それは言っておきます、結羽先生に僕は癒されたいんです、凄くここも居心地がいいんです、一緒に昨日みたいに楽しく過ごしたいと本当に思ったんですよ」
「それは…ありがとうございます」と結羽は頭を下げた。