ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
「ううん、これが1番のお目当てだから並びましょう」
「でも、その間に2つくらい回れますよ?」
「その後は人の流れも変わりますよ、私もあのお肉が食べたいです!」
「じゃあ並びましょう、疲れたら言って下さいね」
「はい!待ってる間も楽しみましょう」
「やっぱり結羽先生はそういうタイプですよね」
「はい?」
「あー、今まで並ぶの嫌とか、途中でもういいとか結構いたので…」
「なるほど…」
「感覚が合うのも大事だなと結羽先生と出会ってからは凄く思ってることなんですよね」
「感覚…」
「簡単に言えば今までとは違う付き合い方をしたいんです、僕は(笑)」
行列の割には高級和牛の肉は鉄板で軽く焼くだけで一気に何人ものお客がさばけて思っていたよりは早く順番がきて、ビールを1つ買い、空いている席を見つけて座った。
『いただきます』
優はビールは控えて結羽だけ呑んだ。
夜に帰るつもりだったからだ。
「美味しい、柔らかいですね、ごめんなさい1人で呑んじゃって」
丸い顔の丸い瞳が大きく見開いた。
軽く体を揺らしながら美味しい、美味しいと嬉しそうだ。
「マジで並ぶの諦めなくてよかった〜、結羽先生ありがとうございます」
「うん、うん(笑)よかったです」
2人とも食べ終わり、次の食べ物を探す。
入口でマップをもらったのを優は開いて見ていた。
優は手掌多汗症をネットで調べていて、特に紙類とかは触りたくないと書いてあったので、マップは1つだけもらい、優は手に持ったまま結羽にマップを見せた。
少しでも気にする事を無くしてあげたいと思ったのだ。
結羽がスイーツ系が食べたいと言ったので足を運んでみると女性ばかり並んでいる。
「どこかで待ってますか?」
「大丈夫です、待ち時間も結羽先生といたい」
ポッと頬が赤くなった。
「じゃあ…並びましょう」と照れて言ってくるのが可愛くて優は手を繋いだ。
「わっ、じょう先生!」
「可愛くて、つい(笑)」
「手汗が…」
「大丈夫ですよ」
列の1番後ろに並ぶとやっぱり手を拭かせて下さいと頼まれたので優は手を離した。
「ほら、大丈夫ですからね」と優は自分の手を見せた。
ホッとした表情がすぐわかった。