ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
彩心(あこ)とあの後に別れ話をしてから1週間ほど経っただろうか、優は大学のベンチで資料を見ていた。
「優~」
顔を上げると男友達が2人歩いて来た。
「何を読んでんの?」
「あー、来週からの実習先の資料」
「実習か、今度は保育園だったっけ?」
「そう、3年次は幼稚園だったけど今度は保育園かな、2人は?」
「6月に小学校に実習だな」
「おう」
同じ教育学部で仲がいい2人は小学校の教師を目指している。
優も教育学部だが保育、幼稚コースで、小学校の資格も取得できるから男子も結構いる。
「優、聞いたぞ、彼女と別れたらしいな」
「あー、まあな」
「マジで続かねえよな(笑)」
「笑うなよ、何かな~、合わないんだよな」
「原因は?」
「んー、いつも一緒に写真を撮りたがるとか食事を残したり…」
「それは普通じゃね?」
「いや、聞いてくれよ…」
優は彼女が食事をほとんど食べずに後から行ったカフェで食べた事を話した。
「まあ、あと、お金もな、別に出すのが嫌じゃないけどさ、お礼とかは言ってくれよとか思うと冷めるかな、まあ好きじゃないのに付き合ってみるこっちも悪いけど…」
「アッチの相性とかは?」
「んー、多分好きじゃないから盛り上がらないんだろうな、美人とかスタイル抜群とか本人の努力はしてるんだろうなとは思うし、認めるんだけど、何だろ、なりふり構わず人に対して一生懸命な子に出会ってみたいわ(笑)」
「優は年上とか付き合ったことある?」
「いや、ないかな、ちょっと興味はある」
「優はさ、何でもそつなくこなすけど相手に合わすじゃん?自分の考えとか言える人がいいかもな、年齢は関係なく」
「んー、自分でも面倒い男だと思うけどさ、まあ実習終わるまではいいかな(笑)」
「じゃあ、実習頑張れよな」
「また、例の店で会おうな」
そう言うと次の授業のため別れた。
優は自分のマンションに帰り、ソファに座ると資料にもう一度目を通した。
「はぁ、乳幼児クラスかぁ…不安だな…」
実習用にカバンを替えてエプロンと室内用シューズを入れて準備をした。