ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
「それはさ、逆に付き合わなくてよかった男ですよ、体の事をからかうなんてろくな奴じゃない!」
「後ろの席でプリント回さなきゃいけなかったの、やっぱり汗で濡れちゃって」
「好きだった人に回すから緊張で汗をかいたんじゃないかな」
「どうなんでしょうね、今はもう憶えてません、太った人も無理とか聞こえちゃったんで…」
「ひどい男ですね、僕が大学を卒業したら結羽先生と結婚して母親にしてあげます」
「ふふっ、酔ってますよね?」
「まだ大丈夫ですよ、あっ、この前の日本酒は?」
「あー、明日実家へ持っていこうかなって…」
「う〜、残念です…結羽先生の実家に行ってみたい」
「みんな呑むので(笑)」
優はビールを流し込んだ。
「いいなぁ…家族が仲良しで…」
優は声が自然に大きくなっていた。
「じょう先生のご家族は仲が良くないんですか?」
「…そうですね、実際は仲が悪いです、外では仲良さげに振る舞うから僕は嫌なんですよね」
「離婚とかはしないって事ですか?」
「してないです、どうしてしないのかは僕にはわからないんですよね」
はぁとため息をつく。
「そうですね、お互い別のいい人と出会うかもしれないし…まあ夫婦の事はわからないですよね」
「僕、親の愛情に飢えてるんですよね、結羽先生といると本当に癒されますし、正直癒して欲しいんです、結羽先生と出会って自分が甘えたい性格なんだと気づいたんですよね」
「でも、じょう先生に尽くす女性はたくさんいたでしょう?」
「尽くすとはまた違うんですよね、僕は彼女の手料理とかも食べたことはないですし、大学に入ってからはそもそも家に行ったことがないです」
それはどうして?と聞いてきたが自分でもわからないと答えた。
かっこつけてリードしようと思ってたのかもですねと説明した。
しばらく食事をしていると
「やっぱりお金目当てですかね(笑)」
ぽつんと優は口にした…
あー、じょう先生は寂しいんだ……
結羽は立ち上がると日本酒を持ってきた。
「呑みましょう!」
「えっ、それお土産にするって…ビールでいいですよ、それかコンビニで買ってきますし」
「いいんですよ、お土産こそ無くてもいいし、何でもいいんですから、ちょっと待っててくださいね、冷凍庫の刺身を解凍するので(笑)」
「それは手間ですよ」
「いいんです!」