ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
結羽は冷凍庫から鮭の短冊を出して氷水のボウルに入れた。
すぐにだし巻き玉子を作ってきてくれて、お浸しも出てきた。
「結羽先生、優しすぎません?」
「そうですか?私はその…知ってのとおりお付き合いの経験もありませんからどういうことが正解かわからないんですが、じょう先生が今、寂しいと思ってるのはわかります……それにそう思わせたのは多分私ですよね?」
「結羽先生のせいにはしたくないんですが…結羽先生に出会って自分が変わらなきゃって思い始めてるんです…」
「そう…」
「さっきも言いましたけど、母親の手料理の記憶がないんですよね、当たり前のように結羽先生がたくさんの手料理を作ってくれて、美味しくて、正直母親みたいな寛大さがあって優しくて、こういうお母さんが欲しいって思いました」
「母親?(笑)」
「でも、話しているうちに可愛いと思うし、ちゃんと女性として好きになりました、母親扱いは一瞬で消えました(笑)安心してください、結羽先生を抱きたいっていう気持ちもちゃんとあります」
「えっ、抱き…」
結羽はびっくりしていた。
「そんな事を考えちゃうんですか?」
結羽の頬は少し赤くなった。
「結羽先生は平気で男を泊めちゃうし(笑)」
「それは…酔って…」
「酔ってヤラれても文句はいえない状態ですよ、僕、偉くないですか?(笑)嫌われたくないんで」
「私…手汗のせいで男性とも手を繋げないんじゃないかと思ってました、太っている事より手掌多汗症の方がコンプレックスになっていて、痩せる可能性はあるけど多汗症の方は治らないかもしれなくて、それを思ったら恋愛に向いてないと思っていて…」
「そんな事ないですよ、ドライブデートも食べ歩きデートも楽しかったです」
「あれはデート?」
「もちろんです、返事は実習が終わってから聞きます」
デートなんだ……楽しかった。
「わかりました…じゃあ開けます(笑)」
日本酒を開栓してグラスに注いでくれた。
そして話している間に刺身も解凍され鮭の刺身と日本酒で改めて乾杯をした。
結局2人で1瓶空けてしまいいつもの様に結羽は寝てしまった。
そして優は食器を下げてソファベッドのマットと布団を引っ張り出す。
「可愛いなぁ…」
よいしょよいしょと頭の位置まで体を持ち上げて後ろから抱きしめた。
「はぁ…気持ちいい酔い方だ」
僕の気持ちが伝わるといいな…
結羽を抱きしめるとすぐに優も寝た。