ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
7日目 誰?

次の日は優の方がトイレで先に起きた。

時計を見ると10時前、昨日はたくさん話して遅かったからな…

ふわぁとアクビをしながら階段を降りていると玄関がガチャっと開いた。

「えっ?」

思わず階段の途中で足を止めた優。

玄関を入ってきたのは若い男性だった。

お互い目が合い

『誰?』と同時に聞いた。

「ちょっと、トイレが先」と優は急いで階段を下りてトイレへ入る。

トイレから出ると男はいなくて優は2階に上がって行った。

リビングに戻ると結羽に馬乗りになっているのだ。

「ちょっと、何してんだよ、女性に手をあげるな!」

優は腕を引っ張り男を結羽の上から下ろした。

「いいんだよ、こうしなきゃ起きないんだから、ほら姉ちゃん起きろよ」

どうやら体ごと揺すって起こしていたようだ。

結羽から下りてからもお尻をペシペシと叩いている。

「びっくりした、弟かよ」

「そうだけど、あんたは?」

「上甲優です、お姉さんにはお世話になってます」

「はぁ?姉ちゃんに世話になってる?家がねえのかよ」

「そういう訳では…」

「うーん、うるさいよぉ」

「あっ、やっと起きた、姉ちゃん起きろよ、何時だと思ってんだ」

「えー、8時くらい?」

「10時だから」

結羽は飛び起きた。

「10時?」

「昨日LINEしたのにスルーしたままだし」

「スマホはどこ?」

リビングをキョロキョロ探している。

「キッチンじゃないですか?」

優は食事をしたテーブルにないのは知っていたから答えた。

結羽はキッチンからスマホを持ってきた


「あー、寝すぎた…」

「まあ、昨日遅かったんで仕方ないですよ」

「はい…」

髪の毛のボサボサを触って直す結羽。

「姉ちゃん、何で男がいんの?」

「一緒にご飯食べてお酒呑んで寝ちゃった…えへっ」

「独り暮らしの部屋に男を入れるなよ!」

「あの…結羽先生には手だしてないんで」

「そりゃこんなデブ相手にしないよな、サークルクラッシャーの上甲先輩は!」

「俺の事知ってんの?えーっと……卓(たく)?」

「はあ?呼び捨て?」

「卓くん」

「そこは田畑くんだろ!」



「卓ー、卓も先輩にはちゃんと敬語を使いなさいよ」

結羽はキッチンでおにぎりを作っていた。

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