ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
8日目 集まり

農家の朝は早い…

人の生活音、それすら気づかないで優は寝ていた。

いや、気づいていたがその音が心地よくウトウトしていたのだ。

軽トラの音、倉庫のドアが開く音、お父さんかな?の話す声

優は体を起こして頭はコクリコクリと上下に揺れていた。

あ〜結羽先生の足音がする。

「入りますよ」と声がかかり「はい」と答えた。

襖が開いて結羽先生が「おはようございます」と寄ってくる。

「おはようございます」

優の目は半開きで眩しそうだった。

「昨日、結構呑んでましたけど…ご飯とか食べれますか?」

「……」

「じょう先生?調子が悪いですか?」

結羽は下を向いている優の顔を覗き込んだ。

優はゆっくりと結羽に抱きついた。

「…結羽先生…眠い…です」

「えっと…」

「卓は?」

「出荷の手伝いに行きました」

「じゃあ、もう少しだけ」

優の頭は結羽の肩に置かれた。

「結羽先生、いい匂いなんですよねー」


いい匂い?自分じゃわからないけど…

「お酒が残ってますかね?」

「ぷっ、朝から面白い事を言いますね」

「だって…香水は付けないから、あっ、朝お風呂に入りました」

「それでかなぁ…はぁ、本当に癒される…」

しばらく無言で肩から動かない優に結羽は手を服で拭いて恐る恐る背中に回してトントンと叩いた。

「変な夢とか見なかったですか?寝る環境が変わって」

「変な夢は自分の部屋でたまに見る…結羽先生といると大丈夫でさ…」

「どんな夢ですか?」

「んー…母親がさ、僕の事を邪魔もの扱いすんのね……勉強も習い事もちゃんとやってるのにさ…僕の事……産まなきゃ良かったって、いつも叫んで目が覚める……」

優は結羽に顔を見せずに話した。

「それは実際に言われたんですか?」

「多分…小さい頃でさ、なんとなく記憶にあって今でもたまに夢を見ちゃう」

「それは何かの間違いであって欲しいけど…じょう先生にとってはおつらいですよね」

結羽は背中をスリスリとなでてくれた。
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