ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
初日 また会えた

いよいよ、やよい保育園での4週間の実習が始まる。

7時出勤なんて早すぎだよな…と考えながら布団に入っていたものの緊張で中々寝れず朝に飛び起きた優

「やばっ!」

優はスウェットからジャージにロングTシャツに着替えて車で近くのパーキングに停めた。

バスで行く予定だったのに初日からやらかしている。

保育園の門を開けて鍵を閉め職員室のドアを開けた。

「あっ、来ましたね」

「すみません!」

時刻は7時ぴったりだった。

焦っている優の心臓は走った後と、緊張とでドキドキが止まらなくて左手で心臓辺りを触った。

息切れを出来るだけ小さくゆっくり呼吸をする。

「やよい保育園の園長です、関根と言います、そして上甲先生の指導係をお願いしてる田畑結羽先生です」

「お願いします、えっ!」

優は軽く下げた頭を上げると園長先生の隣にはこの前ビニール袋を渡した彼女が目の前にいたのだ。

「田畑結羽です、乳幼児クラスの担任です、よろしくお願いします」

そう言うと90度の角度で頭を下げられた。

ぷっ…何だかおかしくなって優は口角があがり

「上甲優(じょうこうゆう)です、お願いします」ともう一度深々と90度に腰を曲げて名乗った。

「あっ」と驚いた声を出したからこの前会ったのを思い出してくれたと優は思ったのだが…

「下の名前が同じなんですね、園長先生、どうしましょう」とくるりと園長先生の方を向いてしまった。

もしかして、僕の事を憶えてない?
まあ、10分ほどの少しの時間だったし、向こうも焦って恥ずかしかったのかもしれないしな…

僕の印象が薄かったんだろう…

「じょう先生でいいですか?」

ふいに話しかけられた。

「あっ、はい」

「私の事は結羽(ゆう)先生と呼んでくださいね」

ニコッと笑った顔は最初に会った印象と同じで丸くてリンゴを思い出し、自分の緊張も解かすような素敵な笑顔だった。

あれ?結羽先生って可愛くない…か?
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