ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
汗は気にしなくていいですからねと耳元で囁いた。
「はい…」
「卓がキレイな場所を教えてくれたので景色を撮りましょうね」
「わかりました」
優は三脚に望遠のカメラを付けて覗いていた。
卓も少し大きめの望遠レンズがついている。
「鳥を撮りたいんだよな」
卓が呟いた。
「鳥が撮りたいなら鳴き声を聞いたら探せるよ」
「姉ちゃん、本当に?」
「うん、おばあちゃんに聞いたことがある、春はね鳥は恋の季節って言われていてオスがメスにアピールするために鳴くんだって、だからさえずりがよく聞こえるって」
「へぇ、結羽先生、詳しい」
「小さい時におばあちゃんとタラの芽とかつくしやわらびを取りによく山に来てたから」
「えっ、つくし?わらび?」
「先輩、食べたことないんですか?」
「見たこともない、タラの芽の天ぷらは店で食べたことあるかな」
「じゃあ、わらび取ってこようかな、もう遅いかな〜」
結羽はカメラを首にかけて歩き始めた。
「ちょっと、結羽先生、1人じゃ危ないですよ」
「大丈夫ですよー」
「卓、大丈夫なのか?」
「まあ大丈夫でしょ、心配ならついて行っていいですよ」
「えっ、どうしよう…」
「お好きに(笑)」
「じゃあ、行ってくるわ」
優は走って追いかけた。
結羽に追いつき2人はどんどん山に入っていく。
「つくしは3月4月くらいなんですよ、家に多分冷凍してあるので夕食に出しますね」
「冷凍もできるんですか?」
「もちろん(笑)わらびはアク取りしなきゃいけないから今日は無理ですね」
結羽はどんどん歩いて行くが…
「あの、わらびのある場所ってわかるんですか?」
「もちろんですよ、つくしもわらびもタラの芽もちゃんと生える場所があるんです」
「へぇ、あっ、結羽先生、カメラ預かりますよ、首が重いでしょ」
「あっ、すみません」
紐で首にかけて合ったデジカメを優に渡した。
30分ほど山を歩くと結羽は下を向いてゆっくり歩き出した。
しゃがむとポキッと折って見せてくれた
「ありました(笑)これがわらびです」
「おー」
「何本かは固まってあるので…」
「ちょっと撮らせてもらっても?」
優はカメラを構えた。
「どうぞ」
しゃがんでいる結羽の後ろからカメラを構える。