ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
田端卓(たばたたく)は市内の1番大きな駅に来ていた。
到着時間に改札の出口に立っていると友達の大瀬戸悠乃(おおせとゆの)はやって来た。
「久しぶり、卒業式以来だね」
「うん、久しぶり」
少し大きめのショルダーバッグを抱えて水色のミニスカートに夏用のグレーの半袖ニットにポニーテールという格好だった。
「大瀬戸は今、短大生だっけ?」
「うん、そうだよ、今年卒業」
歩きながら卒業後の話をしながらパーキングまで歩いてきた。
「えっ、車?」
「レンタカーだけどさ、どこに行きたいとかもわからないし…」
「まずはお腹空いた(笑)」
「何が食べたい?」
「地元にはない店?(笑)」
卓は助手席のドアを開けて悠乃を乗せた。
「じゃあ俺が決めていい?」
「うん」
卓は海に向かって車を走らせた。
先輩に色々店は教えてもらっていたから電話をして予約を入れた。
「あー、海だ」
悠乃が嬉しそうに叫ぶので窓を開けた。
「気持ちいいねー」
1時間弱で予約した店に行くとテラス席から海が見えた。
「素敵……」
卓は半袖Tシャツに薄手のジャケットを着ていたが脱いで悠乃に渡した。
「風があるからこれ、膝にかけて」
ミニスカートがチラチラ揺れるのが気になっていたのだ。
「ありがとう、卓は寒くない?」
「大丈夫」
色々食べてみたいと悠乃は言ったのでカルパッチョのさっぱりしたものから牛肉まで4品ほど頼みシェアをして食べた。
「何で1人で遊びに来たんだ?友達とかじゃなく」
「それは…本当は彼氏と来るつもりだったんだけど別れちゃって、友達とも喧嘩したからむしゃくしゃしてSNS見たら卓の綺麗な写真を見たのね」
「どれだけ喧嘩してんだよ」
「親とも来る前に喧嘩した」
「大瀬戸ってそんなキャラだったっけ?」
「ううん、喧嘩大嫌い、でも仕方なかったの、私の友達と浮気してたんだもん」
「……そっか」
「友達に会わすんじゃなかった……」
「親とはどうして?」
「就職を勝手に決めようとしたから、少しくらい私の意見を聞いて欲しかった」
この間新しく出来たグランピング施設に予約を入れていて彼氏と来る予定だったみたいで食事を終えるとそこに行きたいとお願いされ、連れてきたのだ。