ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
ご対面
優が着替えて髪をセットし始めた。
「優くん、私、こんな格好で大丈夫なの?」
「うん、ジャージならどこかに買いに行こうかと思ったけど大丈夫だよ」
夏用のパンツスタイルに半袖の少しフリルがついた裾の広がったシャツ
結羽もなるべく細く見えるような服を一応選んで買ってはいるけど優くんはやっぱりスタイルもいいし足も長くてかっこいい
「行こうか」
「うん」
下に降りるとタクシーがいた。
「今日は車じゃないのね」
「お酒呑みたいから」
「そっか、外だとそうなるよね」
タクシーの中では静かにしていたが優くんは小指を絡ませてくれた。
手掌多汗症の症状を知ってからは色々気をつかってくれていて、結羽も優といる時はあまり気にしなくなっていて、今はハンカチを手に持ってないから小指だけにしてくれた。
30分ほどタクシーに乗り店に着いた場所は懐石料理のお店だった。
高そうだけど…カード使えるかななどと結羽は心配になった。
「優くん、ここカード使える?」
「使えるけど今日は僕がここを決めたわけじゃないからな」
「えっ、どういう事?」
お店は全室個室で椿という部屋に案内された。
襖を開けると中に人が座っていた。
優くんは私を奥にと手をだした。
「こんばんは」と結羽はとりあえず挨拶をして座った。
掘りごたつ式のテーブルになっていたので足を伸ばすことができた。
「結羽ちゃん、紹介するね、僕の父と母です」
「えっ、えーっ!?」
「ハハッ、びっくりしただろ」
「ごめんなさい、大きな声を出して、初めまして、田畑結羽です、よろしくお願いします」
「ゆう?」
お母さんが反応をした。
「同じ名前なのね」
「はい」
結羽の前には父親が優の前には母親が座っていた。
料理が運ばれてくる。
「わー、綺麗」
「結羽ちゃんが喜びそうだと思った(笑)」
「じゃあ優の婚約に乾杯」
「えっ?」結羽はまたびっくりした。
「あの、全く私、優くんから聞いてないんですけど…婚約って今日初めましてなのにいいんですか?」
「優から結婚したいって聞いたけど違うのかい?」
「それは2人では話しましたけど私でいいんでしょうか?そのご両親的には」
「特にないかな、優の人生だし、卒業してすぐ結婚すればいいと思うよ」
そう言ってビールをグイグイと呑むお父さん。