ぽっちゃり年上保育士に心の底から癒されたい
千景先生がエプロンの名前に気づいてくれた。
「あら、結羽先生がつけたのね」
「そうみたいです(笑)ちょっと仲間になれた様な気がして嬉しいですね、何かシワシワだったのに綺麗にアイロンもかけてくれていて」
「そうね(笑)昨日ちょっとだけ思ったわ」
「家にアイロンなくて、去年の幼稚園に実習で行ってからそのままだったので(笑)」
おむつを変えながら千景先生と話していると結羽先生が入ってきた。
「おはようございます、千景先生」
「おはよう、って結羽先生!」
「はい?」
「血が出てるわよ」
「えっ!」
「顔、頬のところ」
優はティッシュを取り、結羽の頬に当てた。
「押さえていてください、ティッシュ濡らしてきますね」
「ありがとうございます」
「何をしたの?」
「園庭の木の枝が垂れていたので枝切り鋏で切っていてゴミ袋にいれようとした時におはようって挨拶して横向いた時だと思います、葉っぱが当たったので」
「僕に言ってくださいよ」
濡れたティッシュを持って戻ってきた優がゆっくり頬に当ててくれる。
「そうですね、今は背の高いじょう先生がいたのを忘れてました(笑)」
笑うと頬が痛くていたた…と結羽は言っていた。
優は絆創膏を持ってきてくれていて
「顔に貼ってもいいですか?」
「あっ、はい、お願いします」
じっとして下さいねと声をかけると結羽は目を瞑った。
両手で絆創膏を近づけると優は手が止まった。
えっ、何か無防備なの可愛くね?
ゆっくりと貼ると少し鼻にかかっていた。
「ぷっ…ちょっとすみません」
優は後ろを向いて笑いを堪えていた。
「もういいですか?」
結羽が聞いてくる。
「いいですよ(笑)」
「おかしいですか?何で笑ってるんです、じょう先生!千景先生までー」
「ごめん、ごめん、可愛くてよ、ねっ、じょう先生」
「そうです…可愛くて(笑)」
「うー、絶対違うでしょ」
「でも血が止まるまでは我慢してくださいね、可愛い顔に傷なんてつけないでください結羽先生」
「そんな…恥ずかしいこと言わないでくださいよ、全然可愛くないですから」
「僕は嘘は言いませんよ」
絆創膏の紙のゴミをゴミ箱に捨てに行った。