捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される
『桃香ちゃんと浮気してる?』
本当は聞きたい。直接雄一に問い詰めたい。そう思うのに、自信のなさが私の口をぎゅっと閉める。何かを言い返されるのが怖い。
「莉子さん」
呼ばれて顔を上げると、ハンカチが差し出された。
どうして……と思ったけれど、穂高さんの顔がぼやける。ぽろり、と雫がこぼれた。
「あ、す、すみません」
慌てて涙を拭ったけれど、溢れてきてしまう。
胸が押し潰されそう。
「それだけ思い詰めていたってことですよ。今日までつらかったですね」
「……はい」
めそめそと泣く私はひどく惨めで面倒くさいやつなんだと思う。だけど穂高さんは涙が落ち着くのを静かに待ってくれた。
「別れたいですか?」
「……わかりません。雄一とはずっと二人で頑張ってきたんです。恋人だけど戦友というか。感謝の気持ちの方が今はまだ大きい気がしてて。だけどもし本当に浮気をしているなら、別れるべきなんだとは思います」
それが、今の私の精一杯の答え。
穂高さんから「別れる」という単語を聞いて、ああ、そうかと思ったのも事実。
雄一は結婚をほのめかしたりもする。その一方で私を罵ったり馬鹿にしたり、精神をゴリゴリ削られることもある。何とか上手くやれないだろうかとばかり考えていたし、結婚することが前に進むことだと思っていたけれど、別れてもいいんだと気づいた。
本当は聞きたい。直接雄一に問い詰めたい。そう思うのに、自信のなさが私の口をぎゅっと閉める。何かを言い返されるのが怖い。
「莉子さん」
呼ばれて顔を上げると、ハンカチが差し出された。
どうして……と思ったけれど、穂高さんの顔がぼやける。ぽろり、と雫がこぼれた。
「あ、す、すみません」
慌てて涙を拭ったけれど、溢れてきてしまう。
胸が押し潰されそう。
「それだけ思い詰めていたってことですよ。今日までつらかったですね」
「……はい」
めそめそと泣く私はひどく惨めで面倒くさいやつなんだと思う。だけど穂高さんは涙が落ち着くのを静かに待ってくれた。
「別れたいですか?」
「……わかりません。雄一とはずっと二人で頑張ってきたんです。恋人だけど戦友というか。感謝の気持ちの方が今はまだ大きい気がしてて。だけどもし本当に浮気をしているなら、別れるべきなんだとは思います」
それが、今の私の精一杯の答え。
穂高さんから「別れる」という単語を聞いて、ああ、そうかと思ったのも事実。
雄一は結婚をほのめかしたりもする。その一方で私を罵ったり馬鹿にしたり、精神をゴリゴリ削られることもある。何とか上手くやれないだろうかとばかり考えていたし、結婚することが前に進むことだと思っていたけれど、別れてもいいんだと気づいた。