捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される
たぶん私のことを気遣ってくれたのだろう、穂高さんはあっという間にリビングに戻ってきた。
濡れた髪をタオルで拭きながら、いつもの見慣れたスーツとは違うTシャツ姿。眼鏡も外し、雰囲気が違う。珍しいその姿を目で追ってしまう。
「お待たせしてすみません」
「い、いえっ、全然!」
私の隣に腰を下ろした穂高さんから、ふわっとシャボンの香りがする。なんだか不思議。この状況に頭がついていかない。
「さて、それでは莉子さん。泣いていた理由を話してもらうことはできますか?無理にとはいいません。言いたくなかったら、それでもいいです」
「いえ、あの……逆に、聞いてくださるんですか?」
「ええ、もちろん」
穂高さんはいつもの眼鏡をかける。ふわっと微笑む顔がとても慈愛に満ちていて、胸が締めつけられた。
自分の身の上を話すことはとても勇気がいって、ときどき言葉に詰まる。上手く説明もできないし、要点を押さえたりまとめたりする事もできない。とにかく今までのことと、さっき見たままのことを取り留めもなく話した。
途中思い出して声が震えたり涙ぐんだりもしたけれど、穂高さんは少しも嫌な顔をせず、むしろ真剣に話を聞いてくれる。
雄一の態度の違いのこと、雄一と桃香ちゃんの浮気のこと、ソレイユの土地のこと。辛くて苦しい、悲しい悔しい、そんな気持ちをすべて穂高さんに打ち明けてしまった。
濡れた髪をタオルで拭きながら、いつもの見慣れたスーツとは違うTシャツ姿。眼鏡も外し、雰囲気が違う。珍しいその姿を目で追ってしまう。
「お待たせしてすみません」
「い、いえっ、全然!」
私の隣に腰を下ろした穂高さんから、ふわっとシャボンの香りがする。なんだか不思議。この状況に頭がついていかない。
「さて、それでは莉子さん。泣いていた理由を話してもらうことはできますか?無理にとはいいません。言いたくなかったら、それでもいいです」
「いえ、あの……逆に、聞いてくださるんですか?」
「ええ、もちろん」
穂高さんはいつもの眼鏡をかける。ふわっと微笑む顔がとても慈愛に満ちていて、胸が締めつけられた。
自分の身の上を話すことはとても勇気がいって、ときどき言葉に詰まる。上手く説明もできないし、要点を押さえたりまとめたりする事もできない。とにかく今までのことと、さっき見たままのことを取り留めもなく話した。
途中思い出して声が震えたり涙ぐんだりもしたけれど、穂高さんは少しも嫌な顔をせず、むしろ真剣に話を聞いてくれる。
雄一の態度の違いのこと、雄一と桃香ちゃんの浮気のこと、ソレイユの土地のこと。辛くて苦しい、悲しい悔しい、そんな気持ちをすべて穂高さんに打ち明けてしまった。