捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される
オーダーされた日替わりランチを運び「ごゆっくりどうぞ」と声をかける。
と――
「あ、莉子さん」
穂高さんに呼び止められて顔を上げる。
穂高さんはジャケットの内側ポケットから一枚の紙を取り出し差し出した。
「これを」
「名刺……ですか?」
「最近事務所が移転したんです。何かあればこちらに連絡ください」
「そうなんですね。ありがとうございます」
大事に受け取ってエプロンのポケットへ入れた。
「莉子ちゃん」
今度はお父様に呼ばれる。
「今日も美味いね。彼にもよろしく伝えてくれ」
「はい、喜ぶと思います」
そんな風に褒められると嬉しくなる。
いつも懇意にしてくださる石井さん親子は綺麗な所作で食事を進め、その洗練された雰囲気は心を浄化してくれるみたい。
まわりのテーブルを片付けて厨房に戻ると、ちょうど休憩から桃香ちゃんが戻ったところだった。
「雄一さん、今日の賄いすっごく美味しかったです!もう、ほっぺたが落ちちゃいそうでした」
「そうか?ありがとう!」
可愛い笑顔で「ごちそうさまです」と言う桃香ちゃんに、雄一も満面の笑みで返す。とても微笑ましい光景と思うんだけど……。
最近少し気になることがある。桃香ちゃんは人との距離が近い気がする。ううん、誰かれかまわずじゃなく、雄一にだけ。ピッタリとくっつきそうな勢い。それに対して雄一も、全然嫌そうじゃないし。むしろ嬉しそうというか……。
そんなことをグルグル考えていると、ふと雄一と目が合う。
と――
「あ、莉子さん」
穂高さんに呼び止められて顔を上げる。
穂高さんはジャケットの内側ポケットから一枚の紙を取り出し差し出した。
「これを」
「名刺……ですか?」
「最近事務所が移転したんです。何かあればこちらに連絡ください」
「そうなんですね。ありがとうございます」
大事に受け取ってエプロンのポケットへ入れた。
「莉子ちゃん」
今度はお父様に呼ばれる。
「今日も美味いね。彼にもよろしく伝えてくれ」
「はい、喜ぶと思います」
そんな風に褒められると嬉しくなる。
いつも懇意にしてくださる石井さん親子は綺麗な所作で食事を進め、その洗練された雰囲気は心を浄化してくれるみたい。
まわりのテーブルを片付けて厨房に戻ると、ちょうど休憩から桃香ちゃんが戻ったところだった。
「雄一さん、今日の賄いすっごく美味しかったです!もう、ほっぺたが落ちちゃいそうでした」
「そうか?ありがとう!」
可愛い笑顔で「ごちそうさまです」と言う桃香ちゃんに、雄一も満面の笑みで返す。とても微笑ましい光景と思うんだけど……。
最近少し気になることがある。桃香ちゃんは人との距離が近い気がする。ううん、誰かれかまわずじゃなく、雄一にだけ。ピッタリとくっつきそうな勢い。それに対して雄一も、全然嫌そうじゃないし。むしろ嬉しそうというか……。
そんなことをグルグル考えていると、ふと雄一と目が合う。