捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される
近くのカフェに入りカフェオレを注文した。そして桃香ちゃんと向かい合わせで座る。全面ガラス張りのおしゃれなカフェで、こんな話じゃなければいろいろと観察したいところだ。でも今はそれどころではない。
彼女に言いたいことはたくさんある。だけどいざ本人を目の前にすると、胸が詰まってなかなか言葉が出てこないものだ。情けなくて呆れてしまう。カフェオレがとても苦く感じられた。
先に口火を切ったのは、桃香ちゃんの方だった。
「私、莉子さんに謝らなくちゃいけなくて」
「……雄一とのこと?」
ド直球に聞いたら、躊躇いもなく頷かれた。
今さら謝られたからといって何だというんだ。
「別に構わないわ。私は雄一とは別れたの。だから好きに付き合ってくれていいのよ」
「違うんです」
桃香ちゃんはふるふると首を横に振る。可愛らしく巻かれた髪がふわりと揺れ、あの甘ったるい香りがほのかに鼻を掠めた。
「違うって何が?私は知ってるから隠さなくてもいいの。さっきも彼氏だって言ったじゃないの」
「そうなんですけど、そうじゃなくて。私、実は雄一さんに脅されているんです」
「……は?」
彼女が何を言っているのか理解できなくて、ポカンとしてしまう。それなのに桃香ちゃんは大きな瞳をうるっとさせながら、自分の胸のあたりをぎゅうっと握りしめた。
「俺の女にならないとソレイユを辞めさせるって言われて……。私、ソレイユが大好きなので、辞めたくなくて」
「え……だから、雄一と付き合っていたっていうの?」
「はい、そうなんです。そうしないと、暴力とか暴言がひどくて……」
「……」
背中がズキリと痛んだ。先ほど雄一に蹴られた箇所だ。桃香ちゃんも、そんな風に雄一から暴力や暴言を受けていたってこと……?
彼女に言いたいことはたくさんある。だけどいざ本人を目の前にすると、胸が詰まってなかなか言葉が出てこないものだ。情けなくて呆れてしまう。カフェオレがとても苦く感じられた。
先に口火を切ったのは、桃香ちゃんの方だった。
「私、莉子さんに謝らなくちゃいけなくて」
「……雄一とのこと?」
ド直球に聞いたら、躊躇いもなく頷かれた。
今さら謝られたからといって何だというんだ。
「別に構わないわ。私は雄一とは別れたの。だから好きに付き合ってくれていいのよ」
「違うんです」
桃香ちゃんはふるふると首を横に振る。可愛らしく巻かれた髪がふわりと揺れ、あの甘ったるい香りがほのかに鼻を掠めた。
「違うって何が?私は知ってるから隠さなくてもいいの。さっきも彼氏だって言ったじゃないの」
「そうなんですけど、そうじゃなくて。私、実は雄一さんに脅されているんです」
「……は?」
彼女が何を言っているのか理解できなくて、ポカンとしてしまう。それなのに桃香ちゃんは大きな瞳をうるっとさせながら、自分の胸のあたりをぎゅうっと握りしめた。
「俺の女にならないとソレイユを辞めさせるって言われて……。私、ソレイユが大好きなので、辞めたくなくて」
「え……だから、雄一と付き合っていたっていうの?」
「はい、そうなんです。そうしないと、暴力とか暴言がひどくて……」
「……」
背中がズキリと痛んだ。先ほど雄一に蹴られた箇所だ。桃香ちゃんも、そんな風に雄一から暴力や暴言を受けていたってこと……?