捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される
「あの……じゃあ、脱ぐので向こうを向いてもらってもいいですか?」
「わかった。準備ができたら声をかけて」
くるりと背を向けてくれた穂高さんに、私も背を向ける。こそこそとTシャツを脱いだ。ブラジャー姿も見られるのは恥ずかしい。脱いだTシャツで胸を隠すようにぎゅっと握った。
「えと、もういいです。……お願いします」
穂高さんがこちらを振り向く音がする。ソファに座って背中を見られている、それを感じるだけで緊張で変な汗をかいた。
「少し触るよ」
「んっ」
ビクリと肩が揺れる。穂高さんの指がつーっと背中をなぞり、その絶妙な感覚がシャツがない分ダイレクトに伝わって肌が熱くなった。
「ここ、少し痣になってる。痛い?」
「そんな思ったほど痛くはないです」
「こっちは擦り傷だ」
「あ、やっぱり。シャワーしたとき滲みると思いました。擦れてたんですね」
普通に会話できているだろうか。ドキドキがおさまりそうにない。胸に抱えているシャツをぎゅうっと握りしめる。緊張で、口から心臓が出そう……。
「……許せないな」
ボソリと穂高さんが呟いた。えっ、と思ったときにはふんわりとした力に包まれていて、遅れて理解した頭が穂高さんに後ろから抱きしめられていることを認識した。
「ほ、穂高さん?」
驚いて声を上げるも、穂高さんはその手を緩めることはしない。むしろ強く抱きしめられて、抵抗することができない。それなのに、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。ただ、バックンバックンと心臓だけが壊れそうな音を立てている。
「ごめん」
耳元で、掠れた小さな声が届く。
「ごめん、莉子さん……」
「……穂高さん?」
体の前で交差する穂高さんの腕にそっと触れる。そのまま少しだけ顔を捻って後ろを見れば、至近距離の穂高さんと緩やかに視線が絡んだ。
「わかった。準備ができたら声をかけて」
くるりと背を向けてくれた穂高さんに、私も背を向ける。こそこそとTシャツを脱いだ。ブラジャー姿も見られるのは恥ずかしい。脱いだTシャツで胸を隠すようにぎゅっと握った。
「えと、もういいです。……お願いします」
穂高さんがこちらを振り向く音がする。ソファに座って背中を見られている、それを感じるだけで緊張で変な汗をかいた。
「少し触るよ」
「んっ」
ビクリと肩が揺れる。穂高さんの指がつーっと背中をなぞり、その絶妙な感覚がシャツがない分ダイレクトに伝わって肌が熱くなった。
「ここ、少し痣になってる。痛い?」
「そんな思ったほど痛くはないです」
「こっちは擦り傷だ」
「あ、やっぱり。シャワーしたとき滲みると思いました。擦れてたんですね」
普通に会話できているだろうか。ドキドキがおさまりそうにない。胸に抱えているシャツをぎゅうっと握りしめる。緊張で、口から心臓が出そう……。
「……許せないな」
ボソリと穂高さんが呟いた。えっ、と思ったときにはふんわりとした力に包まれていて、遅れて理解した頭が穂高さんに後ろから抱きしめられていることを認識した。
「ほ、穂高さん?」
驚いて声を上げるも、穂高さんはその手を緩めることはしない。むしろ強く抱きしめられて、抵抗することができない。それなのに、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。ただ、バックンバックンと心臓だけが壊れそうな音を立てている。
「ごめん」
耳元で、掠れた小さな声が届く。
「ごめん、莉子さん……」
「……穂高さん?」
体の前で交差する穂高さんの腕にそっと触れる。そのまま少しだけ顔を捻って後ろを見れば、至近距離の穂高さんと緩やかに視線が絡んだ。