捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される
わずかに漂うコーヒーの香りに、私はガバッと起き上がった。寝坊したと思った瞬間、布団と共に体が転がり落ちる。
「きゃあっ!」
幸い布団がクッションになって衝撃は免れたけれど、いったい何事かと思ってきょろきょろと周りを見回した。
「莉子さん大丈夫?」
すぐに駆け寄ってくれた穂高さんが、私の体を支えて起こしてくれる。
「え?あれ?」
「寝ぼけてた? ソファでぐっすり寝ちゃってたから、そのまま寝かせてたんだけど、まさか転がり落ちるなんて思わなかったよ」
「え、うそ……。恥ずかしい」
とたんにカアアと顔が熱くなる。とんだ醜態をさらしてしまった。まるで私の寝相が悪いみたいじゃないか。いやいや、ちょっと待って。私、穂高さんに抱きしめられていたんじゃなかったっけ? それで寝ちゃったってこと?
当の穂高さんはそんなことなかったかのように普通にしていて、もしかして私の夢だったんじゃないかとも思う。だからってソファを占領するのはどうなのよ。いくら寝ぼけてたからって、それはないでしょ。
自問自答を繰り返すも、答えは出ない。
「穂高さん……ソファで寝てましたよね?」
「寝てたよ。布団持ってきてくれてありがとう」
「あ、いえ。こちらこそ、ベッド使っちゃってごめんなさい。しかもソファも占領しちゃって……」
「莉子さんが来てくれたから、温かくてよく眠れたよ。これから一緒に寝るのもいいかもね。結婚するんだし」
「あ、はい……はい?」
やっぱり、夢じゃなかったんだ。ていうか、これから一緒に寝る? ええっ? もう、理解が頭のキャパシティを超えた。わたわたとテンパっている間に、「コーヒー飲むよね?」とダイニングテーブルに朝食の準備がされていく。
……動揺しているのは私だけ。
「きゃあっ!」
幸い布団がクッションになって衝撃は免れたけれど、いったい何事かと思ってきょろきょろと周りを見回した。
「莉子さん大丈夫?」
すぐに駆け寄ってくれた穂高さんが、私の体を支えて起こしてくれる。
「え?あれ?」
「寝ぼけてた? ソファでぐっすり寝ちゃってたから、そのまま寝かせてたんだけど、まさか転がり落ちるなんて思わなかったよ」
「え、うそ……。恥ずかしい」
とたんにカアアと顔が熱くなる。とんだ醜態をさらしてしまった。まるで私の寝相が悪いみたいじゃないか。いやいや、ちょっと待って。私、穂高さんに抱きしめられていたんじゃなかったっけ? それで寝ちゃったってこと?
当の穂高さんはそんなことなかったかのように普通にしていて、もしかして私の夢だったんじゃないかとも思う。だからってソファを占領するのはどうなのよ。いくら寝ぼけてたからって、それはないでしょ。
自問自答を繰り返すも、答えは出ない。
「穂高さん……ソファで寝てましたよね?」
「寝てたよ。布団持ってきてくれてありがとう」
「あ、いえ。こちらこそ、ベッド使っちゃってごめんなさい。しかもソファも占領しちゃって……」
「莉子さんが来てくれたから、温かくてよく眠れたよ。これから一緒に寝るのもいいかもね。結婚するんだし」
「あ、はい……はい?」
やっぱり、夢じゃなかったんだ。ていうか、これから一緒に寝る? ええっ? もう、理解が頭のキャパシティを超えた。わたわたとテンパっている間に、「コーヒー飲むよね?」とダイニングテーブルに朝食の準備がされていく。
……動揺しているのは私だけ。