頑張れ、食堂委員会
「ほら、落ちた。焦んなくても大丈夫だから」
「うん、ごめんね」
両手を合わせて愛らしく謝る紅葉を見守っていると、背後から突き刺さるような視線に俺は気付いた。
振り返るとむっつりした顔の陸と北原がいた。
「……陸はともかく。北原までどうしたんだ? むすっとして」
「別にー。楓君も紅葉ちゃんには優しいんだなーって、思っただけだから、気にしないで」
「? 一応、皆にも優しくしてるつもりだけど……」
「うん、それは一緒のクラスだし、分かってるよ。とにかく、気にしないで」
頬を膨らませる北原を不思議に思いながら俺は頷いた。
意味が分からない。
「俺も気にしないでー。楓君が俺を置いて行こうとしてたのにショックだっただけだからー」
北原と同じように頬を膨らませる陸を俺は無視した。
男がやると気持ち悪いんだな。
「……紅葉、準備出来た?」
尚も頬を膨らませる陸を無視して、紅葉に顔を向けた。
「うん、出来たよ。ごめんね、遅くなって」
「いいよ。花山、帰るぞ。北原はどうする? 近くまで、一緒に帰るか?」
花山に声を掛け、北原にも声を掛けてみると、彼女は驚いた顔で俺を見た。
「いいのっ?!」