頑張れ、食堂委員会
「いいも何も同じ方角だろ? 花山もそうだし。多分、下駄箱辺りにもう一人いると思うけど」
「もう一人って、水谷君?」
首を傾げながら、紅葉が聞く。
俺は妹の言葉に頷いた。
「うん。そろそろあっちも会議が終わる頃だろうし。まぁ、あっちはこっちと違ってちゃんとした真面目な会議だけど」
言いながら、俺は息を吐いた。皆も俺に同意するようにこくこくと頷いている。
「まぁ、明日は休みだし、今日のことはひとまず忘れてさ、とっとと帰ろうぜ」
明るい声で、陸が俺達に言う。
「そうデスネー。来週の月曜日に抜き打ちテストがあることは忘れて、明日は遊びまショウ!」
同じくこちらも明るい声で、花山が言った。
ある単語を耳にした俺達は叫んだ。
「ギャー! 言うなよ、花山ー! 俺、マジで忘れようとしてたのにっ」
頭を抱え、陸が悲鳴を上げる。
「俺も忘れようとして……」
俺も悲鳴を上げようとした時だった。
教室の引き戸タイプの扉を勢い良く開く音がした。
「たのもーうっ!」
時代掛かった台詞を平気で吐きながら現れた男に、釘付けになっている俺達に気付かず彼は次の言葉を言う。