頑張れ、食堂委員会
言ってしまったら、要らない喧嘩まで買ってしまうことになる。今までの経験上、八割の確率で要らない喧嘩の販売があった。それに巻き込まれるのはもう御免だ。
俺は喧嘩を売らないように、表情を変えないように静かに相手の様子を窺った。
男はしばらく停止していたが、我に返ったようで、もう一度、俺に指を差した。
「とととにかくっ、紅葉ちゃんとの交際をかけてしょ……」
「断る」
きっぱりと俺は拒否し、紅葉を連れて教室を出た。
その後をぞろぞろと陸達がついて来る。
「……ちょっと楓君、いいの?」
「ああ。あんなのに付き合ってたら夜になる。ただでさえ、今日は色々あって疲れてるのに、あんなのに付き合ってたら、俺は死ぬ」
「だよなぁー。俺もそう思うなぁ。今日もさっきみたいなの他に何件あったっけ?」
ニヤニヤと陸がからかうように俺に聞く。
「……十件」
忘れたかったことを聞かれ、俺は嫌そうに言った。
「じゅ、十件……それは大変デスネ。僕なら死んでマスネ。時田君、凄い体力デスネ!」
目を輝かせて、花山は俺を見た。
何だか、論点がズレている気がするのは気のせいだろうか。
「……いつも思うけど、何で勝負申し込まれてるの? そりゃあ、相手が紅葉ちゃん目当てなのは分かるんだけど、何で勝負なの?」
「さぁ……?」