頑張れ、食堂委員会
そんなわけで、食堂委員会という、他の学校ではまずないだろう訳の分からない委員会の委員長にされたイケニエの俺と、同じくイケニエにされた委員達、委員会の担当の草壁先生で食堂の新メニューについて議論し、冒頭の出来事に至る。
「ついでに言うけど、先生の学生時代と違って、現在の土曜日は休みだから、土曜日のメニューは必要なし!」
「かえちゃん、落ち着いて! いつも冷静のかえちゃんが熱くなって、先生と同じ土俵に立ってどうするのよ」
袖を引っ張り、小声で俺の横に座っていた女子生徒が宥めるように囁いた。
「紅葉……」
俺の右隣に座っていた時田紅葉(ときた もみじ)は小さく笑った。
彼女と俺は、身長と体重は違うが、容姿が瓜二つだ。つまり、双子だ。
俺が兄で、紅葉は妹なのだが、彼女の方が学校で男女共に人気がある。
同じ容姿なのに、こんなに差がある理由は簡単だ。
人気がある紅葉は大切な妹なので、もちろん、悪い虫が付かないようにしっかり俺と幼なじみがガードをしている。それが理由だ。
おかげで、俺はヤローにやっかまれ、紅葉との交際許可を賭けて、戦いを挑まれる日々を送っている。
そんな状態で、この委員会だ。
更に妹の紅葉も同じくイケニエにされた一人で、委員会の書記を担当することになっている。
紅葉が宥めてくれたおかげで、落ち着いた俺は彼女に笑みを返した。
「あー……皆、ごめん。熱くなった」
周りの委員達に謝り、俺は椅子に座った。
「気にすんなって。楓と同感だから、俺らも」
左隣に座る佐々木陸(ささき りく)が俺に耳打ちした。
陸は俺と紅葉の幼なじみで、彼と二人で妹をガードしている。
そして、陸も同じくイケニエにされ、委員会の副委員長をすることになった。