頑張れ、食堂委員会
「しかし……!」

尚も食い下がろうとする草壁先生に俺はつい、笑顔を浮かべてこう言ってしまった。

「――オトコなら、潔く認めろよ」

言ってしまった。大の大人、しかも先生にまだひよっこの俺が言ってしまった。しっかり笑顔で。
俺の笑顔を見たらしい草壁先生の顔が、凍りついた。
こくこくと縦に振り、草壁先生はそそくさと俺から離れた。

……おかしいな。普通に笑ったつもりなのに。

「そそそ、それじゃあ、決定したメニューは先生が校長に渡しておくからー。じゃあ、今日は解散!」

それだけ言って、草壁先生は教室から逃げるように飛び出して行った。

「あ〜らら。先生、楓の笑顔にびびって逃げちゃった♪」

俺の肩に肘を置き、陸が言う。その顔は俺をからかうつもりなのか、ニヤニヤと笑っている。

「……俺は普通に笑ったつもりなんだけど」

陸を見ずに、そっぽを向いて俺は言った。

「……時田君は顔がキレイだから、余計に怖いネー」

横から俺と陸との話に割って入る男の声がした。
どこか胡散臭い片言付きだ。
俺は声の方向に視線を動かす。
今までずっと黙っていた花山太郎(はなやま たろう)が、こちらに向かって軽い足取りでやって来る。
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