頑張れ、食堂委員会
「やっぱ、幼なじみだなぁ、楓! そうなんだよ、花山! ホラ、佐々木のSはサドのSって昔から言うじゃん?!」
あっけらかんとした笑いをして、陸は言い放った。
……言わないから。
「あー、そうだったのデスカー。良かった……僕は本気でやるかと思いマシタ」
ほっと胸を撫で下ろして、花山は呟いた。
「本気でやるのは楓だよな」
花山に聞こえないくらい小さく陸がボソッと言った。
「聞こえてんだけど。さっき俺が良心って言わなかったか、お前」
「何だよー。聞こえてたのかよ。地獄耳だな、楓は」
ニヤニヤと遊ぶように陸は肘で俺の腕を何度も突く。
「……さ、花山。このサドの馬鹿野郎は置いて、俺達も帰ろうか」
陸の肘を無視して、俺は呆然とやり取りを見ていた花山に近付いて話し掛けた。
ちらりと見た教室の時計は既に十八時を回っている。
友達と話している紅葉も、そろそろ帰る頃だろう。
「いいのデスカ? 佐々木君を置いても」
おどおどとしながら花山は眉を八の字にして、俺に聞いてきた。
「いつものことだし、どうせついて来るし」