ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
エマが落ち着いたころ、その様子を見ていたエリーがエマに話し掛けた。

「エマちゃん、様子がおかしいわ。何かあったの?」

「……レアが部屋に訪ねてきたでしょう? あれから、私はレアに連れられてリリーちゃんの部屋に行ったの。そうしたら……、リリーちゃんがベッドで横になっていたから、病気かと、その部屋にいたリオンさんとレアに聞いたの。だけど、二人とも分からないって言うばかりで、動揺しているし、理由もわからないし……リリーちゃんの容態も気になるし……」

いつになく、歯切れの悪いエマの様子とレアの妹の状態を聞いて、言葉も出ないルイーズとエリー。ルイーズは、なんとか気持ちを立て直すとエマに尋ねた。

「妹さんの容態は、そんなにひどいのですか?もし辛そうなら、お医者様には診てもらったのですよね?」

「それが……クレメント家の侍医は、レアのお父様の遠征に同行しているそうなの……」

「そうですか……」

「エマちゃんは、少し休んだ方が良いわ。食事はしたの?」
「食べていないわ」

元気のないエマを見て、休ませようとするエリー。その近くでは、何か食べられるものがないかキッチンを物色するルイーズ。

「エリー、ここには何もないから、スープや軽食がないか調理場で聞いてくるわ」

「ルイーズありがとう」

エリーに頷くと、ルイーズは部屋を出て調理場に向かった。
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