ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~

エリーの怒り

怒り心頭のエリーが、首を何度も同じ方向に動かし、リアムに何かを知らせているようだ。エリーの示す方向を見たリアムも、エリーと同じ顔つきになっている。

「…………許せません」

そんな二人のやり取りに気付いたエマが、二人と同じ場所を見てため息をついた。

「いつものことだと思うわ。彼は舞踏会に出ると、いつも囲まれているらしいから。もちろん、彼だけではないわよ。殿下やキースもね。姉さまが言っていたわ。」

当然と言わんばかりの様子で、エマは二人を見ている。
皆のやり取りに気付いたルイーズも、釣られてその光景を目にしたようだ。リオンに懐かしさと安心感、そして、ほのかな恋心を抱き始めていたのだろう。少し悲し気な表情を見せるルイーズ。

そんなルイーズを見た二人は、唇を噛み締め、練習場にいる人物を睨みつけた。こちらの二人が姉弟なのでは、と思うほどにそっくりな表情だ。

「ルイーズ行きましょう」「姉上行きますよ」

二人に連れられて歩き出すルイーズは、そんな二人に心配をかけまいと前を向いた。
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