ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
唐突な提案に驚くルイーズだが、熱心に話すリアムに対して断り切れないようだ。卒業後は、侍女としての人生を歩む決心をしていたルイーズにとって、侍女の話は有難い話のはずだが、〈侍女〉以外の言葉が気になって、どう返事をしてよいものか迷っているのだろう。

「考える時間を……いただけますか?」

「もちろんだ。前向きに考えてもらえると嬉しい……長い時間、話し込んでしまって申し訳なかった。そろそろ戻ろう」

馬に乗り帰路に着く二人は、来る時とは違い硬い表情だ。意気込みを感じさせるリオンと、何やら考え込んでいるルイーズ。対照的な表情の二人だが、どちらも真剣な様子であることはうかがえる。

屋敷に着くと、クレメント家の執事であるロバートが玄関前で二人を出迎えた。リオンとルイーズが下馬すると、ロバートは二人に近づいた。

「ロバート……もう、起き上がって大丈夫なのか?」

「リオン坊ちゃま、ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。私は大丈夫でございます。今は意識もはっきりとしております」

安心した表情になるリオンと頷き返すロバート。
そんなロバートは、ルイーズの方へ向き直ると挨拶をした。

「ルイーズ・ブラン子爵令嬢様でいらっしゃいますね。お会いしたのは、貴女様が幼い頃でしたので覚えてはいらっしゃらないかと存じますが、執事のロバートです。
お恥ずかしい話ですが、お迎えの際は、どうにか立っている状態で、ご挨拶もままならずに大変失礼いたしました。それから……この度は、私のためにお見舞いに来てくださったと、クロードから聞き及んでおります。横になっており気づかずに、大変失礼いたしました。」

ルイーズに頭を下げるロバート。その姿を見ているリオンは、苦笑いしながらも嬉しそうだ。
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