ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
第2章 ルイーズの気持ち

カルディニア王国の教育環境

 王都の中心地(王宮)から、馬車で南に40分ほど進むと、カルディニア王立学園がある。その王立学園を起点として、東に1時間ほど進んだ場所に王国学院、西に30分ほど進んだ場所に王国女学院は位置している。

 カルディニア王国学院と女学院は、あることをきっかけにして、50年前に創設された。それまでは、貴族子息も貴族令嬢も、共に王立学園で学ぶことを義務付けられていたのだ。

 王国学院と女学院が、創設されることになったきっかけは、当時王立学園に通っていたカルディニア王国第三王女の奇行である。周りから奇行と捉えられた行動の一つが、他人の婚約者を略奪する行為だ。学園に入学するまでの第三王女の評判は、「美少女」「奥ゆかしい」「淑女の鏡」など、大変評判の良いものばかりだった。

 そんな人物が何故、と周りは騒然となった。当時の国王や王宮関係者が第三王女の奇行に気付いた時には手遅れで、王立学園に通っていた高位貴族の子息たちは、軒並み籠絡された後であった。

 その後始末で、嫡男の廃嫡や幽閉、国外追放など、高位貴族家は大いに荒れた。救いだったのは、下位貴族の子息たちのほとんどが手付かずであったこと。ただそれだけだった。

 真実も解明されぬまま、当の第三王女は幽閉のみ。それには婚約を駄目にされた貴族家やその親族、関係者からの批判が殺到したが、国王はそれ以上の重い罰を与えなかった。

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