ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
 長期休暇も返上で過ごした最終学年。気がつけば、卒業を目前に控えていたある日。ルイーズとクレアは、教員のマノン先生から事務室に来るようにと声を掛けられた。二人は、急いで事務室へと向かった

「遅くなりました」
「大丈夫ですよ。二人ともこちらに来てください」
「はい」

 マノン先生は、二人が目の前に来ると、押さえていた感情を露わにするかのように、笑顔になった。

「二人とも、おめでとうございます。ルイーズさん、クレアさん、本当に頑張りましたね。あなたたちの…努力が実を結び……」

 マノン先生は涙を流し、言葉に詰まっているようだ。クレアに背中を擦られ、落ち着いた先生から告げられらた言葉は、ルイーズとクレアの首席・次席での卒業が確定したというものだった。

「上位の成績を修めた卒業生には、王宮への推薦状が渡されるの。二人とも、良く考えた上で、後日お返事をください」
「「はい」」

 二人は、事務室を退出した後も思いつめたような顔で廊下を歩いていた。

「ねえ、ルイーズ。私、前に王宮で働きたいと言ったことがあったでしょう?」
「ええ、クレアはだいぶ前から、王宮で働くことを目指していたわよね」
「うん。姉に憧れて侍女科に進んで、目指すなら最高の場所で仕事をしてみたいと思っていたの」
「うん」
「でも、王宮と聞いても……今はしっくりこないというか、私の目標はやっぱり姉なのよね」
「クレア、マノン先生に今の気持ちを伝えたほうが良いわ。先生なら、クレアと一緒に最良の答えを見つけてくれると思うの」
「そうよね。姉に相談してみるわ」

 クレアは、顔つきが和らいだようだ。

「ルイーズは、王宮で働く?」
「王宮で働けたら、侍女としては成長できるのかもしれないけど……私は、お仕えしたいと思う方の下で働きたい。それは……、王宮では…ないわ」
「ルイーズは、もう答えが見つかっているみたいね」
「……そうね。両親を説得しないと」

 先ほどとは打って変わって、二人の顔には笑みが浮かんでいた。 
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