ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
 それから、二週間後の卒業式は、つつがなく執り行われた。ルイーズは、両親に見守られながら、首席卒業者の一人として挨拶をした。毎年、淑女科の首席卒業者が代表として挨拶をする。しかし、女学院長とマノン先生から、後輩に残す言葉を伝えてほしいとの依頼があり、慌てながらも何とか原稿を書き上げて、今日の日を迎えた。挨拶の途中で、エリーとルーベルトのすすり泣く声に気づいたが、なんとか無事に終了したようだ。

「何かあったら、必ず集まりましょう」
「何がなくても、ね」
「そうね」
「皆、学院生活は本当に楽しかったわ。ありがとう」

 エリーとミア、クレアとルイーズの四人は、抱きしめ合いながら再会を誓いあった。

 ルイーズが屋敷に戻ると、家族と使用人の皆からお祝いの言葉を告げられた。ルイーズの辺境行きは全員に周知されていたため、その夜は遅い時間まで皆と別れの挨拶を交わしたようだ。


 翌日の正午近くにブラン家を訪ねる者がいた。五名の騎士を引き連れた、レアとクロードだ。

「ブラン子爵、申し訳ない。もっとゆっくり来るはずが、気が急いてしまって早く着いてしまった」
「早過ぎます。今日は客室を用意しますから、泊まってください」

 レアとルーベルトの会話を聞いて、その場にいたリアムとミシェルが慌てだした。

「姉さま、明日には出発してしまうのですか!?」
「ねえさま? ……グスッ」
「二人とも、今日は一緒にいられるわ」

 その後、三人に申し訳なさそうな顔を見せるレアが、リアムとミシェルの二人から〈ルイーズと必ず会えるようにすること〉を約束させられたようだ。

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