ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
再来
出発当日の朝。
家族はルイーズから中々離れられず、出発の予定時間から一時間程が過ぎていた。皆、一言だけと決めていた別れの挨拶を何度も繰り返すため、見かねたローラに止められたようだ。ルイーズは、リアムとミシェルの耳元で「必ず会いに来る」と告げると、笑顔で二人を抱きしめた。そうした状況のなかで、家族と使用人、そしてエリーに見送られながらブラン家を出発した。
旅の道中一日目は、家族の顔を思い出し、切ない表情になっていたが、三日目には気持ちを切り替えたのか、まっすぐ前を見るルイーズの顔があった。また、そんなルイーズを気遣ってなのか、レアが馬車の横を付き添って移動した。
「ルーちゃん、あと少しで屋敷に着くぞ」
「はい」
リリーに会える嬉しさなのか、ルイーズの顔は綻んでいた。
前回この地に来たときは、クレメント家の屋敷の壮大さに驚いたが、今回は街並みから屋敷に続くまでの道を楽しんでいるようだ。それからほどなくして、ルイーズを乗せた馬車は門を潜り、なだらかな坂を上っていった。
その頃のクレメント家では。
「お父様、私のワンピースおかしくないですか?」
「可愛いぞ、リリーは何を着ていても可愛い」
「いえ、そういう事ではなく……でも、ありがとうございます」
「なんだ、緊張しているのか?」
「はい。少しだけ」
玄関前には、辺境伯とリリーを先頭に、執事のロバートやメイドのメアリーが並んでいる。
「お父様! 馬車が見えたわ。あれはルーちゃんの乗った馬車かしら?」
「そのようだ。レアが、馬車と並走して進んでいる」
「リリーお嬢様、落ち着いてください。また、おせきが出ますよ。あまり興奮してはなりません」
「ごめんなさい……あ、門を潜ったわ!」
家族はルイーズから中々離れられず、出発の予定時間から一時間程が過ぎていた。皆、一言だけと決めていた別れの挨拶を何度も繰り返すため、見かねたローラに止められたようだ。ルイーズは、リアムとミシェルの耳元で「必ず会いに来る」と告げると、笑顔で二人を抱きしめた。そうした状況のなかで、家族と使用人、そしてエリーに見送られながらブラン家を出発した。
旅の道中一日目は、家族の顔を思い出し、切ない表情になっていたが、三日目には気持ちを切り替えたのか、まっすぐ前を見るルイーズの顔があった。また、そんなルイーズを気遣ってなのか、レアが馬車の横を付き添って移動した。
「ルーちゃん、あと少しで屋敷に着くぞ」
「はい」
リリーに会える嬉しさなのか、ルイーズの顔は綻んでいた。
前回この地に来たときは、クレメント家の屋敷の壮大さに驚いたが、今回は街並みから屋敷に続くまでの道を楽しんでいるようだ。それからほどなくして、ルイーズを乗せた馬車は門を潜り、なだらかな坂を上っていった。
その頃のクレメント家では。
「お父様、私のワンピースおかしくないですか?」
「可愛いぞ、リリーは何を着ていても可愛い」
「いえ、そういう事ではなく……でも、ありがとうございます」
「なんだ、緊張しているのか?」
「はい。少しだけ」
玄関前には、辺境伯とリリーを先頭に、執事のロバートやメイドのメアリーが並んでいる。
「お父様! 馬車が見えたわ。あれはルーちゃんの乗った馬車かしら?」
「そのようだ。レアが、馬車と並走して進んでいる」
「リリーお嬢様、落ち着いてください。また、おせきが出ますよ。あまり興奮してはなりません」
「ごめんなさい……あ、門を潜ったわ!」