ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
綾なす思い
クレメント家に到着した日の深夜。
ルイーズは、机に向かい一人で淑女教育の教材を作っていた。女学院に入学するまで教えは受けていたが、誰かに教えることなど初めてのこと。ルイーズは、自らが受けていた教育を思い出しノートに書いては消しを繰り返しながら内容をまとめていた。一週間分のスケジュールと授業内容を書き終えると、ノートを机に置きその日は就寝したようだ。
翌日の早朝にメアリーを見つけると、作成したノートを渡して都合が良いときに確認してほしいことを伝えた。それからというもの週に一度はお願いにくるルイーズに、メアリーもまた、内容の提案と実習の練習に付き合うという日々が三か月間続いた。
そんなある日、ルイーズが使用人の休憩室で遅い夕食を摂っていると、そこにメアリーがやってきた。
「お疲れ様です。ご一緒しても良いですか?」
「メアリーさん、お疲れ様です。どうぞ、こちらに座ってください」
「ありがとう。ルイーズさんがこちらに来てから三か月が過ぎたけど、ここの暮らしにはすっかり馴染んでいますね」
「環境が良いからでしょうか。仕事も楽しいです」
「良かったです。それが一番ですよ……あ!そうだわ。乳母のナタリーさんがそろそろ復帰できるそうです。そうなれば、淑女教育のほうにもう少し時間を割けるかもしれませんね」
「復帰を……、それではナタリーさんの体調が万全の状態になったら、淑女教育の時間を少し増やしていただきたいです」
ルイーズの言葉を受け、メアリーは納得するかのような笑みで頷いた。
「明日も朝から夜までですよね。何かあったら声を掛けてくださいね」
「ありがとうございます。実習のときは、一度見に来ていただけると助かります」
「分かりました。その時は遠慮なくおっしゃってくださいね。それでは私はお先に失礼しますね」
メアリーは、勤務時間の長いルイーズの体調を心配して声を掛けにきたようだ。
ルイーズは、一人になると手元に置いてあった本の中から栞を取り出した。そこにはリオンからもらった薄紅色の花が添えられている。しばらくの間、その花をずっと眺めていた。
翌日、リリーは授業の終了後にルイーズを遊びに誘っていた。
「ルーちゃん、あ……、失礼いたしました。ルイーズ先生、次のお休みですが、何かご予定はございますか? よろしければご一緒にお出かけいたしませんか? お父様とお姉さまの許可はいただいております」
「予定はございません。私でよろしければ、ぜひご一緒させていただきたいと思います」
ルイーズは、丁寧に話そうとするリリーを微笑ましく思いながら返事を返した。
ルイーズは、机に向かい一人で淑女教育の教材を作っていた。女学院に入学するまで教えは受けていたが、誰かに教えることなど初めてのこと。ルイーズは、自らが受けていた教育を思い出しノートに書いては消しを繰り返しながら内容をまとめていた。一週間分のスケジュールと授業内容を書き終えると、ノートを机に置きその日は就寝したようだ。
翌日の早朝にメアリーを見つけると、作成したノートを渡して都合が良いときに確認してほしいことを伝えた。それからというもの週に一度はお願いにくるルイーズに、メアリーもまた、内容の提案と実習の練習に付き合うという日々が三か月間続いた。
そんなある日、ルイーズが使用人の休憩室で遅い夕食を摂っていると、そこにメアリーがやってきた。
「お疲れ様です。ご一緒しても良いですか?」
「メアリーさん、お疲れ様です。どうぞ、こちらに座ってください」
「ありがとう。ルイーズさんがこちらに来てから三か月が過ぎたけど、ここの暮らしにはすっかり馴染んでいますね」
「環境が良いからでしょうか。仕事も楽しいです」
「良かったです。それが一番ですよ……あ!そうだわ。乳母のナタリーさんがそろそろ復帰できるそうです。そうなれば、淑女教育のほうにもう少し時間を割けるかもしれませんね」
「復帰を……、それではナタリーさんの体調が万全の状態になったら、淑女教育の時間を少し増やしていただきたいです」
ルイーズの言葉を受け、メアリーは納得するかのような笑みで頷いた。
「明日も朝から夜までですよね。何かあったら声を掛けてくださいね」
「ありがとうございます。実習のときは、一度見に来ていただけると助かります」
「分かりました。その時は遠慮なくおっしゃってくださいね。それでは私はお先に失礼しますね」
メアリーは、勤務時間の長いルイーズの体調を心配して声を掛けにきたようだ。
ルイーズは、一人になると手元に置いてあった本の中から栞を取り出した。そこにはリオンからもらった薄紅色の花が添えられている。しばらくの間、その花をずっと眺めていた。
翌日、リリーは授業の終了後にルイーズを遊びに誘っていた。
「ルーちゃん、あ……、失礼いたしました。ルイーズ先生、次のお休みですが、何かご予定はございますか? よろしければご一緒にお出かけいたしませんか? お父様とお姉さまの許可はいただいております」
「予定はございません。私でよろしければ、ぜひご一緒させていただきたいと思います」
ルイーズは、丁寧に話そうとするリリーを微笑ましく思いながら返事を返した。