ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
 それから数年後。

 ルイーズとリオンは、二人の子供を連れて思い出の花畑へピクニックに来ていた。

 リオンとそっくりな8歳の息子が、ルイーズにそっくりな4歳の妹の手を引いている。二人は到着するなり花畑で遊び始めた。

「この地に来てから、もうすぐ10年が経つのね。16歳で侍女科に移ることを決めてから、色々なことがあったわ。あなたと再会して、意識してたのにまた会えなくなって。
あの時は、侍女の仕事にやりがいを感じていて、そのときにリリーちゃんに出会ったの。リリーちゃんの笑顔を見ると嬉しかった。ずっとお仕えしたいと思ったわ。
でも、そんなとき貴方が求婚してくれた。とても嬉しかった。これでずっと一緒にいられるんだと思ったらすぐに返事をしていたわ」

「ああ、そうだったな」

 リオンは昔のことを思い出しているのか、穏やかな表情でルイーズを見ている。

「お父様ーーお母様ーー見てください!」
「わたしのもみてー!」
「見てるぞ。二人とも上手にできたな」

 子供たちは、少し離れたところから二人に花冠を見せている。

「二人のところに……、ルイーズ?」
「ずっと……一緒って…約束…したわ」

 リオンが振り返ると、子供たちを見つめるルイーズの頬には涙が伝っている。泣き止まないルイーズを、リオンは優しく強く抱きしめた。

 しばらくして、ルイーズの顔を覗き込んだリオンは、彼女の目蓋にそっとハンカチを押し当てた。ルイーズが顔を上げて「ありがとう」と伝えると、リオンは軽く目を見開いた。

「ルイーズ……目の色が」
「何か……おかしい?」
「いや……とても…きれいだ」

 瞳を潤ませたリオンを微笑みながら見つめるルイーズ。その瞳の色は、新緑を思わせる透き通るような若葉の色だった。


Fin
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