ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
 午前の授業が終わり昼食の時間。ルイーズとエリーは、裏庭のベンチでお弁当を食べていた。食堂で食べる時もあれば、天気の良いときは、このように裏庭で昼食を取る。今日は込み入った話があるためか、裏庭に来たようだ。

「エリー、この間は私のことで心配を掛けてごめんなさい。あの後、屋敷に帰ったら、男爵とオスカーが来ていたの。オスカーが、私のことを『女性として見ることが出来ないから、婚約解消をして欲しい』と言ってきたわ。私はおじ様に……オスカーの父親である男爵に、白紙を提案して、それが受け入れられたのだけど……。白紙の話が出てからオスカーの様子がおかしくて……。どうしても、解消か破棄が良かったみたい」

 黙ってルイーズの話を聞いていたエリーが、眉間に皺を寄せながら、疑問を口にした。

「解消か破棄が良いだなんて、意味がわからないわ。何を考えているのかしら……。でも、無事に解消できて良かったわ。ルイーズにとっては、これで良かったのよね」

「ええ。お互いに恋愛感情はなかったし、婚約は白紙にすることに決まったから、ほっとしたわ」

「そう……、それなら良かった。安心したわ」

 婚約について話し終えたルイーズは、今悩んでいることをエリーに相談するために、話を切り出した。

「エリー、聞いてほしいことがあるの」

「いいわよ、どうしたの?」

「この間、カフェでエリーが淑女科から侍女科に転科する話をしてくれたでしょう?『将来の仕事につながる学びがしたい』と。話を聞いたとき、すごいと思ったわ。恥ずかしいけど、私…こんな状況になるまで、自分の将来について考えたこともなかったの。もう決まっていることだから……。でも、婚約の話が無くなったことで、これからのことを考えてはいるのだけど……、自分には何が出来るのか、何をしたいのかが分からないの」
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