ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
「誰かのために、なんて中々思えることではないのよ、ルイーズ。それってすごいことだと思うわ。…………でも、まずは自分のことを一番に考えてほしい……」

「そうかしら……、でも、ありがとう」

 後半の言葉は、徐々に弱まってしまったため、ルイーズには届かなかったようだ。エリーは、いつも他者を優先するルイーズに対して、まずは自分の気持ちを大切にしてほしいと願っているのだろう。

「私、御祖母様のハーブ園で、ハーブを育てたいの。そんなことを言っても、認めてもらえる訳がないから、大人しく学院の淑女科に入学をしたの。父は婚約者を見つけることを諦めてはいないから、淑女科にこだわっていてね。だから、従姉妹に協力してもらって、彼女の侍女になる約束をしてから、侍女科に転科したいと父を説得したわ」

「そうだったの。エリーの御祖母様は、領地でハーブを育てているのよね。それなら、最終的には侍女ではなく、ハーブ園で働きたいということなのね」

「そうなの。侍女科では医療や薬草を学べるわ。その他にも、色々な経験ができるから、本当に楽しみではあるのよ。でも、ルイーズには侍女科に行きたいだなんて、偉そうなことを言ってしまって……、ごめんなさい。
ルイーズも、今やりたいことが見つからなくても、色々な経験をしていくうちに見つかるかもしれないわ」

「うん、ありがとう。大丈夫、心配しないで。何だか、今とても清々しい気分なの。屋敷にも戻ったら、私もお父様にお話しをするわ」

 ルイーズの晴れやかな表情を見て、エリーは少しだけ安心したようだ。
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