ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~

授業

 お昼を共にした日から、毎日のように一緒に過ごすようになった四人。授業の話から自分の話まで、様々な事を話した。打ち解けるのも早く、敬称をつけずに呼び合う仲になったようだ。

 今日のお昼休憩では、どうやら自分たちの将来について話しているようだ。

「クレアは、近くに良いお手本がいるし、将来はマノン先生のような教員を目指しているの?」
ルイーズがクレアに問いかけた。

「教員は目指していないわ。姉に憧れて、侍女科に入学はしたけれど、将来は王宮で働きたいと思っているの。私は男爵家の次女だから、一人で生きていく道も視野に入れないとね。家族からは、良い相手がいたら、すぐにでも婚約するように言われているけれどね。」

「そう、王宮……。もうそこまで考えているのね。」

 感心するかのように頷くルイーズ。その横では、エリーがミアに問いかけた。

「ミアも、将来については決めているの?」

「私は商会の一人娘だから、将来はお婿さんを迎えて、商会を継ぐように言われていたの。私も、ずっとそのつもりでいたけど……。弟が生まれてからは、自由に決めて良いって言われて、今悩んでるところ。でも、弟が大きくなるまでは、私も商会の手伝いをしたいな……」

「そう。そういう事まで考えているのね」

 ルイーズとエリーは、感心しきりになっているのか、何度も頷いている。クレアから二人にも、同じ質問が問いかけられた。

「私は、まだ先のことは何も決めていないし、決まっていないわ。でも今は、侍女科の授業がすごく楽しくて、本当にここに来て良かったと思っているわ」

「私は、しばらくの間は侍女として働くことが決まっているけれど、ゆくゆくは祖母のハーブ園で働きたいと思っているの。祖母の役に立ちたくて、侍女科で学ぶことを決めたの」

 晴れやかな顔のルイーズと真剣な顔のエリー。

「そっか」「そうなの」

 友人の口調や表情から、ミアとクレアも何か思うところがあったのだろうか。四人それぞれが、自分にしか分からない感情や背景を抱えているのかもしれない。

 皆それ以上のことは何も言わずに、裏庭を後にした。
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