ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
 午後の授業は、お化粧と髪の整え方を学ぶようだ。二人一組になり練習をする。

 マノン先生からの説明を聞いて、質問をするルイーズ。

「先生、私どうしても髪を高い位置できれいに結うことができないのです。
なにかコツなどありますか?」

「そうですね……。それではルイーズさん、一度普段通りに髪を結わいてもらえますか」

 ルイーズはペアのエリーに断りを入れると、髪を結い始めた。

「ルイーズさん、もう少し髪をしっかり持ってください。そうです。それからブラシの持ち方ですが、後髪と横髪を上に持ち上げる時にブラシも動かしてください。
そうです。そのまま髪を手の平の中に集めるように引き上げてください。良いですね。
どうですか? コツは掴めましたか?」

「はい、ブラシを縦や斜めにすると、髪が扱いやすいです」

「そうですね。他にも分からないことがあったら、すぐに聞いてくださいね。それから髪質は人それぞれですから、色んな方の髪の毛で、試してみると良いですよ」

「はい、ありがとうございます」

 この様に授業は進んでいくようだ。どうやらコツ掴んだようで、ペアを替えながら何人もの髪を結わいていくルイーズ。集中すると、少し周りが見えなくなるらしい。クラスメイトは苦笑いしながらも、みんな優しく対応してくれているようだ。

* * *

 就寝前、ルイーズは自室の机に〈Lノート〉を出して、なにやら考え事をしているようだ。

「エリー、クレア、ミア……。三人とも、これからの事をきちんと考えているのね」

独り言を呟きながら、何やらノートに書き込んでいく。

「これから、お茶会でのサーブの練習があって、淑女科の上級生のお茶会で実践ね……。」

 新たな目標だろうか。夢中でノートに書き込んでいく。

 最近は、窓からのぞく月の光にも気づかないくらいに、没頭していることが多いようだ。

 こうして……今夜も夜が更けていった。

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